宮本武蔵 (H14年3月2週号)
 小学生の頃、ラジオで徳川無声の「宮本武蔵」の連続放送をしていて、よく聞いた。吉川英治の小説を朗読するのである。吉川英治の本は戦後に6冊の立派に装丁された本を買って読んだ。また、徳川無声が亡くなってから、その録音テープが十数巻ほどのセットで発売されたのでこれを購入し、移動中の列車とか出張先で聞いた。
 「五輪の書」は、コンサルタントの仕事をし始めてから読んだ。実践から体系化した簡潔な理論であり、私の仕事の参考にもなった。吉川英治の小説でも、かなり、五輪の書からヒントを得た話があると分かった。「神を尊び、頼らず」など、すごい本であると思った。その意味で武蔵は単なる剣客でなく、戦略家、政治家でもあった。しかし、彼の生まれた時代はすでに天下が統一された段階であり、時代に恵まれなかったと言える。
 「五輪の書」は、80年代の日本ブームの頃英訳もされた。日本が世界経済を制するのは、日本の企業戦士が「五輪の書」のように「勝つ」ことに徹底するからだと外国のジャーナリストがコメントしていた。今、日本経済はマネー勝負に負け、その勢いはない。