ヤクザの親分 (H14年7月1週号)

数年前、広島に新幹線で良く通っていた。グリーンの割引があるので、帰りは疲れていると、2階建てのグリーン車でゆっくり帰ることが多かった。私は禁煙車愛用である。 ある日2階建てのグリーン車に乗ったら、福山から黒服の2人連れの中年男が私の前の席に並んで座った。そのうちに禁煙車なのに、2人はタバコを吸い出した。私は後ろから声をかけ「ここは禁煙車ですよ。」と言った。2人の男は、「そうか。禁煙車だったのだ。どうもすみません。」とすぐに火を消した。丁重であった。

それから小一時間たって新幹線が大阪に近づいた頃、その2人の席にこれも黒服の若い人が2、3人来て話をしていた。彼らはグリーン車でなく、普通車にいてそこから来たのであろう。
中年の紳士2人は大阪駅についたら、その若い2、3人を先頭に降りていった。私は2階建ての席から、ホームを見下ろしたら驚いた。黒い背広姿の男が20人くらいホームに縦隊に並んでいるのである。そこをさっきの2人の中年男子が挨拶しながら、前を歩いているのである。自衛隊の閲兵式のようである。組員の出迎えである。2人の中年男子は、組長と大幹部であったのである。

私はそれを知らないので、気軽に禁煙の注意したのであるが、後で冷や汗をかいた。しかし、ヤクザは上に行くほど、素人には丁寧であるとのことである。