村田秀雄 and 元ちとせ (H14年8月4週号)

演歌歌手の村田秀雄がなくなってから、別な歌手が彼のヒット曲を歌うようになったが、どうもだめである。これは美空ひばりの歌を他の歌手が歌うと、逆に美空ひばりのうまさが際立つのと同じである。特に、ひばりの低い音程から高い音程に無理なく移るのは、未だにその人を得ていない。

村田秀雄は、三波春雄と同じで、浪曲出身である。三波春雄は高い声の美声であるが、村田秀雄は、低い渋い声である。しかし、浪花節の本流は渋い声の方ではないかと思う。
村田秀雄の歌は、この浪曲という伝統芸をうまく演歌に生かしている。「王将」は作曲家の船村徹が村田秀雄のために作ったという。北島三郎がこの歌を気に入って、売り込んだそうであるが、やはり、村田秀雄に決まったという。これは浪花節の基礎がないと、あの渋みは出ないからだろう。また、「無法松の一生」は、リズムが西洋音楽では考えられないという。変わっている。実はこれも浪曲のリズムである。

もう、浪曲の伝統芸を基礎に、演歌にそのうまさを生かして歌う人は出てこないであろう。

元ちとせは、奄美大島の出身であり、まだ、20歳台である。伝統的な島歌をうまく現代風に歌って、人気が出てきた。聞いていると気持ちがリラックスする。彼女は、奄美大島の島歌のコンクールで若くして優勝したというが、素質が十分にあったのであろう。
まだ、島歌というジャンルに限られているが、それをさらに発展させて、村田秀雄のように、一般的な大衆曲に展開できれば、面白いのではと思う。将来を期待したい。