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このタイトルの言葉は、脳医学で有名な北里大学教授養老孟司氏の言葉である。要するに老化は老年になって始まるのでなく、すでに若年からつながっていると言うことである。
同教授がある80歳くらいの老人と仕事の打ち合わせをしていたら、突然、その老人が「今の医学はすばらしい。」と言ったという。打ち合わせの中身と違うことなので、突然、思いついたことを口にしたのであろう。その老人は足を痛めていたが、医者に調べてもらったら、首の損傷に原因があることが分かったという。それで「今の医学はすばらしい。」となったのである。
医者は首の損傷が原因であるのを指摘したが、何故、首が損傷したかはわからない。それを老人は無意識に追求していたのであろう。それが、養老教授と打ち合わせ中に、原因が思い当たったのである。
原因は次のようであった。その老人は、20歳くらいのときに、敗戦を迎えたが、特攻隊の生き残りであった。多くの戦友を特攻隊で失ったので、それに失意して、2回首吊り自殺を試みたという。そのとき、首を痛めた。それを思い出して、突然、「今の医学はすばらしい。」となったのである。すなわち、20歳のときの首の痛みが、80歳台になって、足の痛みにつながっていたことを現代医学は指摘したのである。
私はスポーツクラブで、ストレッチ運動をするとき、右の体側が左より楽にのびる。これは30歳くらいまで、草野球で右投げの投手をしていたからだと思う。
十数年前に左眼に小さな浮腫があるのをドックで発見した。医者に原因を聞いたら、「年になるとなりやすい。」とそっけない。右目は健康なので、何故、左だけなのかと自分で考えたら、16才くらいのときに、野球のプレー中、顔の右側面に硬球の直撃を受けたことがあったことを思い出した。
ドックで病院にいた55歳のタクシーの運転手にあった。彼は花粉症で、ある日、アレルギーの眼薬をさして、運転していたら、突然、右目が真っ暗になった。網膜剥離であった。左眼は健全である。そこで、私は、過去に右だけ、怪我をしたことがなかったか聞いたら、25年位前に、追突されたとき、右顔面を車体の右側のどこかで強打したことがあると、思い出しながら答えた。私は、養老教授の話から、それが原因ではないかと思った。彼は首をひねっていた。
手術は成功して、彼の右眼は見えるようになったが、少し歪みが残った。だから、プロの運転手としては無理である。退院とともにタクシー会社に退職届を出すことになった。55歳で失職である。当分の間、パートの奥さんの収入と失業保険で過ごすと言っていた。
確かに、老化は絶え間なく続く人生の一過程である。若いときからつながっているのである。若いときに気をつけないと後でつけが来る。特に、皆、長生きをするようになっただけに、健康的な老後は、若いときに始まることになる。
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