白集団と白い書類信者集団 (H15年5月3週号)

テレビで、盛んに白集団のニュースが流れる。二十台ほどのキャラバン部隊で移動している。自動車には、奇妙な円形の絵柄のマークがベタベタ貼ってある。

このマークをつけているのは、白集団には、それなりの大義名分がある。スカラー波からの悪影響を排除するものであるという。大槻早大教授によると、スカラー波とは、静電気のことであり、また、円形マークは教授の本の表紙にそっくりである。そして、教授は、「貼ってあるのは、マークのついた紙であって、静電気防止の技術的な『装置』ではない。だから、この図形の紙をベタベタ貼るのは静電防止としてはナンセンスである。」とコメントしている。まさにその通りである。白い布も電磁波を遮蔽しないし、静電防止にならない。

大槻教授のコメントを聞いていて、連想したのは、ISO9000で文書を精密に書くと、『装置』の改良抜きで、不良がなくなり、品質が向上するという不思議な発想である。
ホチキス止め作業の手順書を書くと、バラツキがなくなるという発想と同じである。発想が、ホチキス『装置』の改良という方向にいかない。それは、円形マークを貼るとスカラー波を防止できるという、この白集団の発想と似ている。

戦後の日本は、圧倒的な技術力の米国を見習い、独特の技術力を高めた。「品質は工程で作られる」という考えや、トヨタ生産方式、内橋克人氏の「匠の時代」、山根真一氏の「メタルカラー」(山根真一氏は、メタルカラーの1人として、ノーベル賞の田中さんにインタビューしている)、NHKのプロジェクトX時代の登場となった。そこには、文書の増大が品質を向上するという事実も発想も全くない。

また、自動車に円形マークの紙をベタベタ貼るのは、ISO9000で、現場にベタベタ文書を貼ったり、棚に分厚いファイルを飾ったりするのと似ている。
自動車に円形マークをベタベタ貼るのは、運転がしにくいという実害だけであり、同様に、ISO9000で、現場にベタベタ、いろいろな文書を貼るのは、何かそれでうまくいっているというマネジメントの安心のためである。しかし、誰も見ない。このルーズな安心がマネジメントのルーズさを生む。雪印の工場には、例の事件前から、大きな「品質第一」という垂れ幕が工場にかかっていた。事件がおきて、気持ちを引き締めるため、ものものしいパンフレットが全社員に配られた。これも紙である。しかし、その発想が、さらに雪印食品で問題を起こす。

デミングは、その12原則で、このベタベタ貼りを品質上好ましくないと言っている。

白集団と、書類信者集団との両者に共通しているのは、その行動を具体的に合理的な説明をできないことである。カリスマ的な幻想であるが、これが幻想ですまなくて、副作用が現実化すると、オーム真理教のように、大きな社会的なマイナスの結果になる。ISO9000の場合、下手にやると、品質とは書類つくりすることになり、真の品質を見失うため、ジリジリと気がつかないうちに企業競争力の低下となる。
東電は、データ改ざんをした。それは、品質は書類作りでごまかせるという考えからである。真の品質を見失った結果である。

そういう眼で、白集団を見ると、単純に、他人事とは思えない。息の抜けない世情である。