電力不足(H15年6月3週号)

今年の夏は、節電が必要になるだろう。例年の冷房が期待できなくなるのだろうか。
以前から、夏の電力需要の増大は、甲子園の高校野球と家庭の冷房がピークになるからだと言われていたが、先月の朝日新聞によると、生協総合研究所の調査では、家庭用の電力はむしろ、冬のほうが多く、夏の電力需要が多いのは、オフィスなどの企業の需要がピークになるからだという。確かに、夏場のオフィスは寒いくらいの冷房をしている会社もある。新幹線などもそうである。

この電力不足は、東電の原子力発電所のニセ報告書事件が発端である。
昨年、新聞の一面の左下隅に原子力の協会か何かが、「今回の不祥事は、まことに遺憾である。今後、安全問題が再発のないように手を打っているが、原子力は重要なので、その重要性を理解してもらいたい。」旨の小さな広報記事を掲載していた。しかし、その後も、次々と原子炉が停止し、ついに、電力不足が言われるようになってきた。

この新聞広報にあるような「遺憾である」は「すみません。」とうことである。その上に立って「今後、再発のないように手を打っている。」というのは、製造業としては悪い対策表現の典型例である。「何故、そういうニセ報告を作ったのか。」の「真因」が、まず、明記されていないからだ。「すみません」では、再発する典型である。
もともと、原子力は安全が重要なことは分かっている。だから、きちんとした報告システムのルール(Plan)が、最初からあったはずである。そのどこに問題があったのか。それを徹底的に明確にしないで、対策を考えるのは、再発するタイプである。
「今後、ルール通り、守る。」と言っても、今までのルールが何故、守れなかったのか、の真因追求(Check、Act)が明確でないと、新しいルールを作っても、また、守らないことになり、再発する。また、「再度、ルールを守るようにする。」を繰返すだけとなる。

PDCAサイクルは、継続的改善サイクルである。これは、「人は失敗から学ぶ」という単純なことを言っているのに過ぎない。問題は、失敗から「深く」学ばないので、表面的な対策ですますから、再発するのである。「深く」学ぶとは、CAが「真因」の上に立っているかによって決まる。これがトヨタ生産方式でいう5W(5つのwhy)であり、原因追求でなく、真因追及である。データ改ざんは何故、やったのか、その真因は?ただ、ルールを守らなかったとか、意識が低かったとかだけでは、民間企業のトラブル対策同様、真因対策にならないだろう。