1.アップルパイの卵事件
Aさんは卵アレルギーで、十代の頃、あやまって卵分が入ったケーキを食べ、ショックを起こし、救急車騒ぎを起こしたことがある。それ以来、20年ほど、卵には気をつけている。
ある日、久しぶりに近くに日本一有名なハンバーガーショップの店に行き、アップルパイを購入しようとした。それは、以前、同社は製品ごとに、食物アレルギーを起こす卵や大豆などの含有物があるかを一覧表で公示しており、そこに、アッパルパイは卵分がないと公示されていたからである。
しかし、当日、念のため、受付けの女性に卵分が含まれているかを聞いた。答えられず、店長が出てきた。これも分からない。そこで、レシピのコピーを要求したが、企業秘で公開できないが、見るだけならいいだろうと言うことになった。
Aさんがレシピを見たら驚いた。卵成分が入っている。危ないところであった。そこで「以前、卵成分がないと公示されていたのに、いつ、変わったのですか。」とAさんは店長に聞いた。
店長は「2社の供給業者を1社に絞ったので、それで変わったのだと思います。」と答えた。しかし、これは返事になっていない。前からそのうちの1社は卵成分が含まれており、他の1社は含まれていないということになる。公示された情報はうそだということになる。
「いずれにせよ、卵を使うようになったら、変更を公示すべきではないですか。」とAさんが聞いたら、店長は「本社からそのような指示が来ていませんのでーー」という。そして「本社にその旨、連絡しておきます。」と言った。しかし、Aさんの連絡先すら聞いていないから、本当に本社に連絡したかはあぶないもので、その場しのぎの口先だけである。他の店で同様な問題が起きる予防になっていないであろう。
この店長は、本社を向いており、顧客を向いていない。これは店長個人の問題でなく、会社のシステムの問題である。顧客重視はスローガンで終わっている。この会社は今、業績が落ちているが、内部崩壊も感じさせる。
デミングは、内的目標による管理は、顧客を忘れ、かえってコストがあがると言っている。
2.学校のISO9001:2000取得
7月、盛岡の生徒数千人くらいの高校がISO9001:2000を取得した。学校でISO9001:2000を取得した第1号であるという。地方テレビ局の取材映像を見ていたら、生徒にアンケートを定期的にとっていた。顧客は、生徒やその親としているからだ。品質目標も数字で数項目示されていた。おそらく有名校合格率などが含まれているのかもしれない。
しかし、本当に顧客は、生徒やその親なのであろうか。昨年ノーベル賞をもらった小柴氏は東大の物理をビリで卒業したという。エジソンの親は、学校教育を嫌い、自宅で教えたという。あるべき人間像を築き、個性の発掘を重視するほうが重要ではないのだろうか。
それはどのように測定できるのであろうか。有名校の合格率で分かるのであろうか。教育の本質から目をそらすだけではないか。
それは、本当に顧客の満足になっているのだろうか。製造業でISO9000の運用の間違いが多いだけに、なんとなく、常識的に違和感を感ずる。
内部監査もやっていた。そのときの書類が多かったのが気になった。かえって、書類の仕事が増加しているのではないか。そして、その文書ルール通り、仕事をしないと内部監査で不適合になるという。しかし、授業に監査するようなルールがあるのだろうか。内部監査は国語の先生が数学の先生を監査するのであろうか。
型破りの授業をする金八先生は、どのようにそのルールに対応するであろうか。
ある調査によると、生徒が先生を尊敬する率は、アメリカなどは高く、80パーセント台だというが、日本では、30パーセント台で先進国では、極めて低いという。問題は、授業のうまい、下手でないようだ。そういう本質的な問題から目をそらすことに貢献するだけなら、マイナスとなるだけではないのか。
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