老害・老益(H15年10月5週号)

今、藤井道路公団総裁の解任問題から、次に、中曽根さんの引退勧告問題にと、息子くらいの若手によるベテランへの退陣勧告が大きなニュースになっている。これは、政治問題よりも、一般的な老人と生きがいの問題を象徴しているようだ。
どちらかというと、改革を支援する側の朝日新聞の天声人語では、中曽根さんの引退勧告には、中曽根さんに同情的なようで、「老害」もあるが「老益」もあるのではないかと書いている。

この小泉流は、信長流である。だから、信長による改革は、急速に進められたが、リスクも大きく、本能寺の変で明智光秀にやられる。その能力を信長から評価され、下から抜擢されていた秀吉が後を継ぐことになる。

今回は、比例代表制の定年制からきているが、これは企業の制度からきているのであろう。ビジネス雑誌では、外国のトップの若いことをあげ、日本の経営陣の老齢化を批判している特集や記事も多い。政治家も欧米先進国のほうがはるかに若い。

私が個人的に知っているある経営者は80才で、有名なビジネス雑誌で「会社の若返りが遅れている」と批判されたことがある。しかし、本人は非常に健康で、精力的に飛び回っているし、息子の年齢くらいの取締役たちは、私の目からみても頼りない気がする。思い切って、若手に任せることも考えているようだが、次から次に経営的に解決すべき問題が発生し、タイミングを逸しているようだ。会社は、従業員の生活を継続的に保証する義務もあるから、なかなか、決断できないようだ。
こういう、経営者は、どうも後継者の育成がうまくないように思う。その会社でも、私が期待していた後継者候補たちは、長い間に、やめている。だから、年をとっても悠々と次世代にまかせることができない。自分一代の使命感に燃えているタイプが多いのではないか。しかし、組織活動は一代では、大きなことはできないであろう。

学者や、芸術家など、個人的な仕事の場合は、退陣のタイミングは自然に訪れるが、組織を動かす人は、早期に若手に委譲する状態を作るべきであろう。それを作れる老人が「老益」を生み、作れない老人は「老害」になるのではないか。

宮沢さんは、小泉さんをなんとか支援して、自民党組織を若がえさせ、選挙に勝ち、継続させようというつもりかもしれない。