| 今度の選挙の特徴は、各政党がマニュフェストを明確にしているという点にあるという。ISO9001:2000のPDCAでいうと、Pの明確化であり、その実行(D)の約束である。測定可能な目標、納期、それに必要な資源(財源)の明確化である。当たり前といえば当たり前のことであろう。
しかし、PDCAの経験者の産業界からすれば、このマニュフェストで大きく抜けていることがある。それは、Pの前を走るCAがない点である。よく、PDCAを実際にやると、Pからうまく進まないと言われる。まず、現状を分析し、問題を明確化する。すなわち、Cから始め、その原因を明確にして、それをつぶして改善するAを明らかにする。これがPになる。これがオーソドックスな手順である。
ISO9001:2000の年間の品質目標なども、現状のデータとその分析がないと、具体的に効果的な品質目標が決まらない。
すなわち、Pの内容よりも、その前に基礎になったCAが重要であり、それを明確にするとPが分かりやすいし、説得しやすい。
私も職業柄、改善活動を長くやってきているが、まず、現状を調べ、次に今、そうなっている原因を明確にする。そうしないと、私の出した改善提案は説得性がなく、企業側に受入れられない。そして、原因は「真因」でなくてはならない。
次にその原因をつぶす方法を考える。これが改善である。そのとき、それに必要な資源を見積もる。効果はあるが、大きな資源投入が必要なときは、次善策が検討される。
今回のマニュフェストは、何故、その問題を解決する必要があるのか、その問題の原因は何か、それをどうやって、つぶして、改善するのかが平易に説明されていないようである。
日本人は、「桜はいさぎよく、散る。」と言って、過去の失敗にこだわることを嫌う国民性がある。「明日があるからさ。」となる。だから、同じ失敗を繰返す。それは、戦争下手に現れる。日露戦争のときの、203高地の戦い、インパール作戦での戦いでも、同じ戦法を繰返すので、相手に読まれている。成功しないのは、こちらの努力が足りないとして、また、同じPを繰返す。最終的に、多数の第一線の戦死者を出す。
第2次大戦で、合理的に決まる軍用機の生産でも、軍が無理な計画を立て、工場に押し付ける。だから、月末に計画通りいかない事実が出る。工場側が、その原因を説明すると、軍は「言い訳がましい。いさぎよくない。」と怒る。「すみません。私たちの努力が足りませんでした。来月の生産では、全力を尽くします。」とあやまると、「よろしい。いさぎよい。来月はがんばれ。」である。失敗の分析がない。そして、また、同じようなPを立て、また、失敗する。
宇宙船アポロは、最低、2基作った。1基は、宇宙に飛ぶ。地上の1基は、失敗のときの原因分析に使う。事実、アポロ13号は失敗し、本体は宇宙に消える。しかし、地上の1基で原因が分かる。こうして、真のPDCAがまわる。転んでもタダで起きない。
道路問題でも、四国に3つの架橋は不要であったという例がよく出る。これは、自民党の道路族の人も認めるが、何故、3つ作ったのか、その個別の原因(真因)の明確化と、その再発予防のつながりが明確でない。こういう道路にまつわる真の情報は不明確である。真相は藤井前道路公団総裁が墓場まで持っていくのであろうか。アメリカでは、免責という方法を使ってでも、真実を明らかにする。そうしないと、次のPがうまくいかないのである。こうして、真のPDCAがまわる。
今、日本は、不景気で、全体で、700兆の借金があるという。しかし、一方で、アメリカの国債を買い支えている経済力がある。その現状を明確にしたマニュフェストがあるのだろうか。その真因は?改善は?
日本は貿易黒字を続け、アメリカは赤字である。しかし、景気は逆である。貿易で儲けた金は、どうなっているのか。ドルになって、アメリカが使っているのだろうか。マニュフェストは真の問題にふれていないようだ。それは、その前のCAが明確でないためのようだ。第2次大戦当時の日本と変わっていないようだ。
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