品川駅・「点と線」(H15年12月1週号)

10月1日から、品川駅が新幹線駅ともなったが、私は、東海道新幹線の下りを利用するときは、新横浜からだから、関係ない。こだまは小田原からだ。しかし、東京駅に往復するときは、湘南電車、京浜東北線、横須賀線などを利用し、品川駅を通過する。

広くなった品川駅は、端の山手線から、反対の端の新幹線まで、9つのホームとなった。これが同じ平面にある。だから、在来線から新幹線のホームが、遠くに見えるかと思ったが、まだ、工事が残っているのか、工事の遮蔽物のようなものがさえぎっていて見えない。遮蔽物がなくなれば、端の山手線から新幹線まで、9つの各ホームを見通すことができて壮観であろう。しかし、多くの電車が交互に走っているので、端から反対の端にある新幹線ホームまで見通しできるチャンスは少ないのではないか。

そう思っていたら、初期の松本清張の有名なサスペンス小説「点と線」に出る東京駅を思い出した。この小説では、偽装心中した男女が、夕方の6時頃、東京駅の15番線ホームの博多行き夜行列車「あさかぜ」に乗るところを、知人が13番線の横須賀線ホームから目撃する。
ところが、13番線ホームから15番線ホームがすっきり見られるのは、その時間帯では、4分だけであるという。それほど、駅は電車がひんぱんに往来している。犯人は、時刻表の分析から、その4分を使って、友人に計画的に目撃させたのである。

今、東京駅の地上ホームは1番から23番線まである。しかし、品川駅のように水平でなく、4段である。さらに、横須賀線は地下に潜った。「点と線」は古典となってしまった。

このサスペンス小説は、最初、九州・福岡近くの香椎(かしい)駅(JRと西鉄の2つの駅があり、この位置間隔がまた、この心中が偽装ではないかという推理の伏線にもなっている)の海岸での、男女の心中死体の発見に始まる。これが偽装心中なのである。私は、このJR駅の近くの古賀(こが)にある会社の人と、この駅前の食堂で夕食をしたことがあり、そのとき、香椎という言葉をなつかしく思い出したものだ。

「点と線」の時刻表をトリックに使うというサスペンスの手法は、当時は、新鮮さがあった。まだ、新幹線が無い頃である。舞台は、北海道、九州ととぶ。刑事は夜行列車での移動である。
その後、時刻表によるトリックは、テレビの2時間サスペンスドラマでおなじみのように、ひんぱんに、登場するようになった。