新撰組(H16年1月4週号)

NHKの「そのとき歴史は動いた」で新撰組特集を見た。これは今年の大河ドラマで新撰組を扱うのでそれにあわせた特集であろう。この特集で、今まで、池田屋事件などで幕末のテロ集団のように思っていた新撰組の活動が、実は農民から武士へという、江戸幕府ではなかった階級移動志向が背景にあったことを知り、別な視点を得ることができた。
そして、近藤勇らが努力して武士として認められるときに、まさに数百年続いた武士の時代が終わるのである。象徴的な時代の最後を新撰組は飾ったことになる。新撰組の努力も時代の流れには勝てなかった。

NHKドラマでは、近藤勇をSMAPの香取慎吾が演ずる。しかし、現存する近藤勇の写真と比較すると全く雰囲気が似ていない。もっと、似ている俳優がいるが、そういう俳優は通常人気がない。やはり人気者が必要なので、こういう人選になったのだろうか。
脚本の三谷喜氏によると、そういう一般の不満を知っていて、あえて彼が香取慎吾を選択したのは、近藤勇が新撰組を編成したのは28歳、板橋で処刑されたのが34歳、だから、若い点を強調したという。また、人選した他の大きな要因とし、近藤は口が大きく、拳骨が口に入る特技を持っていたそう(これは作り話だという人もいる)で、香取慎吾も、CDが20枚、口に入るという。どうも、これは彼一流の洒落ではないか。
そういえば、昨年の紅白歌合戦で審査員として出ていたが、司会者のインタビューに対して「こんなにすばらしい歌合戦なら、毎年、やったらどうですか。」という洒落を言っていた。観衆はあまりわかなかった。
幕末で活動した人は皆、年は若い。しかし、立派な仕事をしている。幕末の20歳台は、現在の40歳台くらいになろう。だから、近藤勇の実年齢が30歳前後であろうと、現在年齢では、40歳から50歳台になるだろう。そのくらいの年齢の俳優が適切だろう。

江戸幕府は四百年の安定した階級社会のため、武士と平民の婚姻が少なかったので、武士顔、平民顔の違いができたという。
近藤勇はいかにも平民の顔である。しかも眼光が鋭い感じである。農民から武士にのしあがっていく迫力が顔にあらわれている。年以上に老けて見える。
そういえば、幕末の武士の顔は写真が多くとられているが、顔の骨相が似ている。しかし、新撰組でも、土方才三の写真を見ると武士顔であり、珍しい。

配役が適切かという話は、ドラマが違うが、今、民放の連続テレビで、リニューアルで放映されている「白い巨塔」の主人公である外科医の財前助教授の配役もよくない。以前は、田宮二郎のあたり役であった。リニューアルでは、唐沢寿明がやっているが、どうも、顔に田宮二郎が持っているどぎつい迫力がない。この役は、本質的に悪役であるが、唐沢寿明は善人顔である。

有名なドラマになると、俳優の顔や動作から受ける印象が、適役かどうかの重要なポイントになるようだ。そのせいか、「白い巨塔」のリニューアルとともに、田宮二郎の「白い巨塔」のDVDが発売された。