2つに割れたイラク人質問題への対応(H16年4月3週号)

3人の人質は無事に釈放された。何よりである。しかし、この問題は別の内容でもめた。

10日ほど前、テレビのニュースを見るために、スイッチを入れたら、テーブルに向かい合って、何か、すごいやりとりのシーンが出てきた。また、医療事故か政府のミスなのかと思ったら、3人の人質問題で人質にとられた家族と外務省の担当官との対面のシーンであった。
その雰囲気を見て、何か違和感を覚えた。

ところが、4月10日頃、テレビの新聞記事の紹介で、平沼通産相のコメントで、これは政府の警告を無視して、危険を承知で行ったのだから、本質的に個人責任の問題ではないかという内容の紹介があった。
なるほど、そういう別の考えがあるのかと思い、13日に出張したとき、駅のスタンド売りで、産経新聞を買った。ここの産経抄というコラムで、10日のこの欄で、この問題は「自己責任の問題」がとられるべきだと書いたこと、そして世論の反発を受けるかと思ったら、意外や賛同の手紙やメールをもらったとのことが書いてあった。
この欄の記事によると、家族の立場に同情しながら、しかし、イラクは政府から「超危険地帯」として、最高の退避勧告がたびたび出ていたのに、これを無視した3人の無謀と軽率さに対して、テレビ会見をみているかぎり、家族側に自覚も反省もないようで、そのあたりに違和感を覚える人も少なくないようだと書いてあった。そして、TOKYO FMが二十代の若者にインターネットのメール調査したら、88%は、自衛隊はこのために撤退すべきでないと答えたそうである。これほどの数字であるから、直接、家族に対する非難は相当なものと予想された。

思った通り、14日の朝日新聞は、家族の記者会見での発言に対する批判や嫌がらせの電話や手紙が相次いでいることを大きく報道していた。そして、13日に家族が各政党への要請書の中で「3人が世界中を困惑、混乱させていることへの謝罪や、政府が全力で当っていることへの感謝などを伝えたい。」と小泉首相との面談の訴えもあるというように変わってきた。

15日の朝日新聞の論説では、「これ以上苦しめるな」として、この問題を取り上げている。「勝手に行って迷惑をかけ、税金をつかわせている」「自分の子なら行かせない」「それなのに、自衛隊の撤退を家族が訴えるのはおかしい」というような非難や嫌がらせが家族に対して相次いでいるとのこと。
人質の高遠さんはホームページがあるが、事件後、1日半で十数万件という膨大なアクセスで、電子掲示板への書き込みは、高遠さんへの非難や中傷が大半であったという。
そして、最近、3人の家族は「ご迷惑をかけて申し訳ありません」と繰返すようになったとある。しかし、論説はだからと言って、その家族を苦しめるような言葉を投げつけることは直ちに止めるべきだとしている。

16日発刊された週刊新潮や週刊文春では、この3人の詳細な取材をしており、無謀なイラク行きに批判的であった。