| 国民年金の未加入、未納問題で、社会保険庁がキャンペーン用のポスターを作ったとき、女優を使ったが、この女優が保険料未納であることが指摘され、仕事はキャンセルになったという。ここから、今回のスキャンダルは始まった。
ついで、問題になったのは、国会議員の未加入、未納である。最初、大臣の問題を追及していた野党まで、未加入、未納をしていることが分った。
この問題で登場する人は、皆、所得が多く、なんらかの単純な事務的なミスが原因なので、一般の未加入、未納と異なるようだ。しかし、政治家が自己の国民年金に無関心であったという点は致命的である。
この問題は、別な問題もからんでいる。それは、税金との関係である。
確定申告で、社会保険料の控除をする。大抵、税理士がやる。そのとき、本来、年金納付を確認する。聞くところによると、女優の場合は、税理士が払っていると思いこんで確認しないでそのまま、税金を申告していたらしい。
国会議員の場合も、税金の申告の際、税理士が確認していなかったのであろうか。
また、この問題を、年金の複雑性の問題にしているが、自分がどのくらい年金を払っているかは、社会保険庁に行き、年金手帳を示すと、パソコンで一瞬にして、プリントされる。
ISO9000の話しになるが、最初、ISO9000には、統計的手法の管理を文書化することが要求されていた。ある企業で、原料の比重をサンプリングで測定して、その標準偏差(シグマ)を求めていた。この管理手順に示すため、標準偏差の公式を手順書に書くことにした。ところが、いつまでたっても管理責任者が書かない。
あるとき、気がついた。それは、電卓で測定値を入れ、ポンとシグマキーを押すと、今は瞬時にして標準偏差が出てくることである。だから、電卓の中のプログラムの公式など、分らないのである。
私の若い頃は、標準偏差を求めるのに、電卓を使い、公式に基づいて、まず、測定値を入力し、平均値を出し、紙にメモをし、また、電卓で各測定値との差を求め、それを自乗し、合計して、サンプル数から1を引いた数で割って、その平方根をとる。手でキーを逐次動かし、計算するので、何べんもやると、式はすぐに頭に入る。
しかし、どうして、バラツキを求めるのにこんな手間をかけるのか、疑問に思った。そこで調べた。そして、もっと、理屈が簡単で、自乗計算も平方根計算もない簡単な絶対偏差というものがあることを知った。1を引く理由も分かった。だから、私は、後にバラツキの計算をテキストで説明するとき、簡単にバラツキが計算できる絶対偏差の求め方や、1を差し引かない方法も説明に追加し、バラツキを知るのにシグマが、なぜ、必要かを書いた。
これと同じである。今は、年金計算はパソコンで瞬時にして簡単にできるが、その裏のシステムは複雑であり、政治がらみや専門の官僚の設計なので、一般の人には分かりにくいであろう。
しかし、シグマ計算のように自分が公民年金に加入しているか、未納かは、コンピュータ時代であるからキーをたたけば、すぐ分かる。国会議員のデータも同じである。しかし、その背後のコンピュータシステムは複雑である。コンピュータシステムが複雑だからといって、自分の年金の状況がすぐに分からないというのは、詭弁である。
厚生年金も、パソコンで簡単に出る。
私の妻は、厚生年金を受け取る年令になったので、社会保険庁に行った。すぐに、計算してくれた。プリントを見たら、結婚直後、私のいた会社に半年ほど勤めており、その年金も計算されていた。しかし、妻、ご本人は、その半年ほどの明確な記憶がない。妻は、一旦、確認のために帰ってきた。当時、私が勤めていた会社なので、当然、私には、明確な記憶がある。
このように、場合によっては、本人より、正確、かつ、迅速に年金計算をしてくれる。よくできたコンピュータシステムである。しかし、そのシステムはシグマのように複雑なようだ。その複雑性を理解していないと、シグマの計算式のように、システムの基本的な問題点は見えないであろう。
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