| テレビの刑事ドラマが好きで、よく取調室で調書をとっているシーンを見る。一度、その部屋のシーンを経験してみたいと思っていたら、偶然、そのチャンス(?)がきた。
広い道で、交通事故を起こした車が、邪魔にならないように、奥まった公園横のわき道に移動して停車した。パトカーも来た。わき道は、一時、片側だけうまった。
たまたま、そこに1台の車が来た。反対側からも来た。互いに道をゆずるようになった。
ところが、その1台の車(奥さんと小さな子供が後部座席にいた)の運転手(30才前後の男)が、2人のパトカーの警察官にくってかかった。どうやら交通整理が悪いということらしい。しかし、ほとんど交通量のないわき道なので、常識的に見ても言いがかりである。何かに「切れた」ようである。その運転手の声はよく聞こえなかったが、顔色からするとすごい罵倒を警官に浴びせているようであった。警官は「自動車事故なので仕方がないでしょう。」と穏やかに言っているのが聞こえたが、その運転手は、まだ、しつこく罵倒をあびせていた。
しかし、その車が停止していると後から来る車の邪魔になる。そこで罵倒は終わり、車は走り去った。それでこれは一件落着と思ってみていた。パトカーの警官も帰ろうとして車に乗りかけた。
ところが、その運転手は、公園の別の場所に車を駐車して、歩いてパトカーのところまでもどってきた。そして、つかみかかるくらいに顔を警官に寄せ、また、くってかかりだした。あまりにも異常であると思っているうちに、警官が逮捕すると言い出して、無理やり車に押し込んだ。数分で、パトカーが2,3台、来た。交通警察から公務執行妨害という刑事事件担当に管轄が移ったようだ。
公園でこれを目撃していた私に、ちょっとランクの上のような警察官が来て、「この運転手を公務執行妨害で逮捕しますが、第三者の目撃証言がないと、警察官の独断による人権侵害だと言われそうなので、おそれいりますが、警察まで来て、客観的な立場で経過を証言してください。最近は、警察官は文句ばかり言われ、一番弱い立場なんです。」と協力を要請された。
警察署まで警察の車で行った。警察の廊下で、手錠をかけられ、数人の警察官に囲まれて歩いてきたその運転手とすれ違った。調書を取られたのであろう。つまらないことで前科となるのだろうか。「切れた」結果であろう。感情の抑制ができないのであろう。
警官の控え室のような部屋で若い警官がワープロと小さなプリンターをもってきて、私の説明を調書にした。そして、プリントした調書に指紋で捺印した。警察官のワープロのスピードは遅く、予想外に時間がかかった。
「あんなに異常ないいかがりは、普通の人はしないから、暴力団関係者ですか。」と聞いたら、その若い警察官は「私は暴力団関係の担当なんで知っていますが、彼らは、すぐに逮捕されるような違法行為はしませんね。」と言った。
帰りに別な警官が車で家まで送ってくれた。「本人が冷静になって詫びれば、そのまま、不起訴処分で今日は家に帰れるでしょうが、あくまで、非を認めないと、今夜は拘留されるかもしれないね。どうもまだ、非を認めていないようです。」と言っていた。
最近、親族7人殺害事件があり、兆候はかなり前からあったので、警察は何故、予防処置をとらなかったのかという警察批判の論議がテレビであった。これに対し、あるテレビコメンテーターが、逆に、警察が早めに動いていたら、今度は人権侵害とテレビは騒ぐだろうと言っていた。正論である。その境目は難しいという大人の議論をすべきであろう。
最近、中国人の犯罪者を逮捕しようとして、強硬に抵抗され、警察官がピストルを発射して、犯人に傷を負わせた。地裁で、3百万円くらいの賠償請求が警察に出された。しかし、高裁で警官の立場を認め、賠償はゼロとなった例がある。
アメリカも同じである。だから、クリンスト・イーストウッドのダーティハリーのような人権無視に近いことをやる刑事が映画上の英雄になるのだろう。 |