フジテレビの天気予報を見ていたら、石原予報士が台風の目の説明をしていた。安藤アナから「台風の目というのは、英語でどういうのでしょうね。」と突然、突っ込みがあった。石原氏はあわてて「タイフーン・アイではないでしょうか。後で調べます。」というような対話があった。
「台風の目」を和英辞書でひくと、bull’s eye(雄牛の目)とか、the eye of the storm とかある。やはり、英語でもアイ(目)が出てくる。しかし、雄牛の目というのは、英語的表現である。次に、英和辞書でbull’s
eyeをひくと、いろいろな意味の中で、射撃などの的の中心という意味がある。なるほど、射撃の円形の的は、1つの中心をいくつかの円が囲んでいて、台風の形に似ている。
アテネオリンピックで、アーチェリーで銀メダルをとった、41歳になる日本代表がいたが、この競技のシーンを思い出した。中心部の円に入ると最高点の10点だという。そして、よく見ると真ん中に小さな黒い円がある。この中心部がbull’s
eyeなのだろう。
しかし、この「的」に何故、雄牛の目が登場するのか、雄牛の目は中心を囲んで円がいくつかあるのであろうか。牛に縁の少ない農耕民族の日本人にはピンとこない。
以前、鈴木孝夫教授の本で読んだと思うが、象の鼻は、英語ではnoseと言わない。「鼻が高い」は日本ではほめ言葉であるが、鼻の高い欧米人は、high
noseではなく、big noseと言い、ほめことばでない。むしろ、シラノ・ド・ベルジュラックのような大きな醜い鼻を持った主人公の戯曲が登場する。鈴木教授は、鼻という感覚は、日本人と欧米人は異なるというのである。
唇は英語でlipであるが、日本語の唇は、鼻の下は含まれない。しかし、同教授によると、英語には、「唇にひげが生えている。」という表現があるそうで、lipは、鼻の下も含んでいるという。
なお、象の鼻は英語でtrunkという。Trunkを英和辞書でひくと「幹」意外に、「(象の)鼻」とういう訳がある。ついでに、犬、猫、馬などの鼻はmuzzle、豚などの突き出た鼻はsnoutと異なった単語になる。
多田道太郎教授は日本語の動詞は抽象化が高度であるという。例えば、「人をのむ」というように、「のむ」の動詞はいろいろな意味に使うが、英語の動詞は、薬をのむときはtake、液体をのむときはdrink、固体をのむときはswallowと使い分ける。そうすると、日本語の名詞の「鼻」も英語のnoseよりも抽象度が高い名詞ということになる。
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