作家・五木寛之氏のテレビの日本百寺訪問は、終わったようだ。氏は、最後の総合的な印象として、石段歩きで苦労したことを述べていた。石段が多いと、途中で休んで、苦しそうに息をしているシーンが出て来た。
そこで思い出したのが、なんば歩きである。今の足と腕を反対方向に動かす歩き方は、明治維新で西洋から軍隊の歩き方を導入してからだという。それまでは、日本人は踏み出す足とその手が同じ方向に動いたという。いわゆるなんば歩きである。
しかし、街なかで、なんば歩きをしたら、頭がおかしいと思われることは明らかなので、試しになかなかできない。ところが、出張先のある地方の駅で、駅の階段を登るとき、ほとんど、人がいなかったので、なんば歩きで階段を登ってみた。そうしら、重いショルダーバックを肩にかけていたが、スイスイ足があがり、楽に登れる。驚いた。
五木寛之氏もなんば歩きで、静かな山中の寺の石段を登ったら、楽であったであろう。
なんば歩きの指導で有名な武術家の甲野氏が、最近NHKの番組に出ていた。それは、20人くらいの男女中学生だと思うが、体を有効に使って、楽に介護ができる方法を教えている番組であった。教え方は押しつけでなく、できるだけ、生徒に体験を通じて考えさせるという方法をとっていた。この番組でも、なんば歩きの例として、椅子に片足を上げて乗せるとき、その同じ側の腕を足と同じ方向に上げると足が楽に上がり、かつ、高く上がることを、自ら椅子を持って、体を動かし、説明していた。
それにしても、寺に石段が多いのは、中国も同様である。中国のほうがもっとスケールが大きいだろう。10年ほど前に、中国の聖地五台山に行ったとき、この盆地に小さな山があり、頂上に寺があった。そこまで石段である。この山は木がないから、石段の下から上まできれいに見える。当時、足に自信があったので、せっせと登った。晴天で頂上は絶景であった。
3年ほど前、山形県に仕事で行った。早く終わったので、近くの立石寺に行ってみようと思ったが、石段が千段あると聞いて、短時間では登れないと思い、思い止まった。五台山に登った頃のように体力に自信がなかったからでもある。しかし、当時、なんば歩きを知っていたら、「なんば歩きで立石寺に楽に登る」ということで、挑戦したかもしれない。惜しいことをした。 |