掛川と大河ドラマと耐震偽装問題
(H17年12月4週号)

来年のNHKの大河ドラマは、司馬遼太郎の小説「功名が辻」をとりあげる。土佐一国30万石の領主となる山内一豊の話である。山内一豊とその夫人の美談は、私くらいの世代が受けた戦前の教科書には「馬ぞろへ」とというのがあった。里から持参した金子十両を夫人の千代が鏡の底から取り出し、夫の安土馬揃えに名馬を購入し、これが主君信長の目にとまり出世の糸口をつかんだという物語である。だから、よく知っている人物だ。この美談が当時の戦時体制下の女性の心構えとして強調されたようだ。

山内一豊は、尾張名古屋の生まれであるが、秀吉の小田原攻めの後、掛川城主となり、5万石を与えられている。土佐に移ったのは、約10年後の関が原の戦いの論功行賞による。
掛川城の天守閣は木造で整備されている。今年は、名古屋の愛・地球博の後を受けて、観光が盛んになるかもしれない。

掛川には、新幹線のこだまが止まる新幹線掛川駅がある。新幹線の自由席は上り方向では13号車から15号車である。これに乗るには、上り線のホームを東京寄りに歩く。すると13号車に乗るあたりから、屋根がなくなり、左手一面に市街地が展望される。その目の前に10階建てで、100室くらいのビジネスホテルが、ドンとそびえたつのが目に付く。近くに高いビルがないので、目立つ。数年前から、静岡地方に仕事に来ることが多く、新幹線掛川駅に乗降することが多いが、そのたびに目立つ風景であった。

ところが、11月に耐震偽装問題が出たとき、このホテル(くれたけイン掛川)がその偽装ホテルの1つとして、見慣れた10階建ての写真がテレビに出てきた。営業は停止である。大変な被害である。1月から耐震補強工事をして、3月より営業開始という。まだ、どうしてよいか分からないホテルが多い中で対応が早いようである。大河ドラマで掛川が盛んに観光を宣伝しているが、それには、間に合うであろう。

耐震補強工事と言えば、新幹線掛川駅は、今年は長い間工事中で、大河ドラマブームに間に合うだろうか。静岡駅も耐震工事をしている。

日本列島の面積は、地球上の陸地面積の400分の1だというが、マグニチュード6以上の地震の2割は日本だという。地震国である。だから、日本における建物の耐震性は、建物の最高の品質でなくてはならない。鉄道の安全と同じである。死が直結するからである。
耐震偽装で問題になった内田総研社長は、地震国でないドイツから新工法をもってきたらしいが、耐震性は問題ないのであろうか。
私は、この地区では、ルートインホテルのチェーンをよく利用している。ところが、ルートインホテルに、木村建設社長自ら、このドイツ工法で工期は半分で済むと売り込みに来たという。ホテル側は、ホテルは公共物的なもので耐震強度は重要であり、地震国でないドイツ技術工法に疑問を持ち、誘いに乗らず、売り込みは成立しなかったという。

それにしても、法隆寺の五重塔は木造であるが、すぐれた耐震性を持っているという。日本の建築は、その意味で、伝統的に独自の耐震性のすぐれた技術を持っていなくてはならないはずである。トヨタが輸入の自動車製造技術で世界的な品質を誇っている以上に――。