ある小企業のISO9001準備失敗例とその挽回活動
1.相談依頼
 6月1日、2日と九州に飛んだ。ある40人ぐらいの小企業が、コンサルタントの指導のもと、ISO9001の準備に取り組んで、半年たったが、うまくいかず、相談があったからである。
 予想されたのは、そのコンサルタントが大手の品質保証部担当を経て、独立したとのことで、従来型の品質管理で押し通し、生産システム全体の配慮がないのではないかということであった。
2.実情
 予想通りであった。すでに、品質マニュアルは完成し、そこには管理規定の引用があった。それによると、たった40人の小企業に29の管理規定を必要とするというものであった。この規定作りで、壁にぶつかったのである。すでにいくつかの管理規定が完成していたが、品質マニュアルとあまり内容的に変わらなかった。
 品質マニュアルを作成するとき、ある指導機関の「モデル・マニュアル」が用いられていた。その企業の特殊性を考慮していなかった。実態にあったシステムを設計する力がなかったのであろう。また、管理規定と技術文書(規格)の区別がないので、文書体系の混乱が見られた(このホームページのQ&AのQ10参照)。
 社長は「マニュアルを読んでも、全く理解できない。」と言っていた。その企業の生産システムをチェックすると、生産管理が弱いことが分かった。また、設計行為は、生産技術を基礎とする工程設計が主体であった。マニュアルには、工程設計的なことは設計管理に登場していなかった。
3.システム設計の方針
 そこで、すべて、作った文書は、廃棄し、白紙スタートで次の方針でシステムを作り、それを文書化することにした。9月にはシステム稼働が可能と判断し、支援することにした。
(1) 生産管理の基礎確立の上に立ったシステム構築
 作業指示書(含む現品票)、購入注文書(含む現品票)などの文書による生産管理システムの基本を確立し、その上に立った、効果的なISO9001システムを構築する。そのために、コンピュータを使用する。
(2) 工程設計を設計の中心とするシステム構築
 生産管理の基礎を確立するためには、部品表、部品工程表などの設計情報の提供がシステムとして確立される必要がある。また、製品設計は顧客が行い、工程設計は貴社が行うという設計分業を明かにして、貴社の設計行為は生産技術を基本とした工程設計であることを明確にする。
 これにそって、工程設計のシステムをISO9001の「4.4 設計管理」にそって確立する。
(3) 簡潔な明瞭な文書体系システムの構築
 管理規定類はゼロとして、品質マニュアルでISO9001にそったすべての貴社の管理業務を文書化する。技術文書は、生産技術の標準化という観点から、効果的な文書化は積極的に進める。すなわち、品質マニュアル、技術文書の2階層とする。
(4) 内部システムの統一文書・記録システムの構築
 顧客の外部文書が内部に流れたり、顧客により、提出文書が異なるが、これらの顧客の要求により、内部文書や記録の方法が振り回されないように、変換システムを確立し、貴社内部は、統一した文書・記録システムを構築する。
(5) 図面の個別配付システムの構築
 規模から判断して、製造現場で、図面を常備持たず、作業指示書に添付して、発行し、これに記録をとることができ、これにより、効率的にISO9001の要求に対応することができる。したがって、図面の配付台帳管理を行わない。