イギリスの品質マニュアルの特徴(H12年4月2週号追加)
 今回、イギリスの中小企業6社を視察して、マニュアルをもらってきたが、一番、日本と異なっていたのは、どのマニュアルにも、日本のマニュアルや参考書にある「品質保証体系図」がないことである。これにより、私の品質保証体系図ゼロという考えが裏付けられた。私は、品質保証体系図の代わりに、品質計画(quality planning)という用語を用いているQS9000の品質計画タイミングチャートからヒントを得て、「品質計画手順表」を作成するようにしている。
 今回、IRCAの主任審査員のインストラクターに私の本の「50人以下のISO9000マニュアル」にある「品質計画手順表」を見せたら、気に入って、そのコピーをくれという。日本語は読めないが、表のスタイルで専門家は理解できるのであろう。英語に訳して渡した。彼は、コンサルもやっているので、これを用いるであろう。彼はすでに、ある企業の管理規定をマニュアルに一本化して、管理規定ゼロで認証取得を支援していた。
 また、ある企業では、タイトルが品質マニュアルでなく品質管理システムマニュアルとなっていた。私は以前から、品質システムは日本語では分かりにくいと言っていたが、実は、イギリスの企業サイドも分かりにくい英語であることも理解できた。ある管理責任者は、品質システムだと、ISO9000は、品質保証部がやることだと従業員が誤解するということである。そこで、マニュアルでは管理システムに変えたという。
 また、今回、視察したQS-9000を取った自動車部品メーカーなどは、QC工程表と同じような管理計画書は、顧客が要求していないので、作成を除外している。むしろ、FMEAが新部品ごとに提出を要求されている。単純に色が変わっても、要求されるので、工程に共通のファイルを作り、パソコンで文書作りをしていた。これも日本とかなり異なる。
 今回、地方の工業団地の中小企業が多かったが、日本からすれば地の果てで、カンバン、カイゼン、5S、5Whysが英語化して、現場で用いられているのを見てびっくりした。帰国して、日経ビジネス4月10日号を見た。偶然、「トヨタは、どこまで強いか」の特集があった。ここで94年にクライスラーの会長が「もはやトヨタに学ぶものはない。」と言ったが、その後、幹部がトヨタのケンタッキー工場を丸1日かけて観察した結果、「クライスラーは、まだ、何を学んでいないことを確認した。」と言ったという記事がある。また、書評欄にMITのレスター教授の「競争力」があり、教授は「TQMやリエンジニアリングは失敗例も多い」と指摘しているので、興味深かった。トヨタ生産方式によるカイゼン経験がないとこれからはISO9000も議論できないであろう。
 イギリスでは、アメリカのヒューレットパッカードとモトローラがISO9000をとらないと言い出したということを聞いた。