| 4月に訪問したイギリスのある計測器メーカー(ISO9001取得)の社長は、書類ばかりを作り、現場に行かない品質保証部長を3回も続けて解雇したと言った。彼はトヨタ方式を導入したのでよくその根底にある考えを理解していたからである。しかし、日本でもISO9000取得で、事務局には、品質保証部門があたるが、びっくりするのは、技術的に音痴が多いことである。クレームの回答書の作文がうまいとか、データの整理がうまいとか、統計的手法をよく知っているからとか、検査が早いとかの能力だけで、品質を生み出す自社の設計技術や工程を知らないことが多い。 |
| 私は、「品質管理は『品質を』管理するのでなく、『品質で』生産活動を管理するのである。だから、生産活動(含む設計)を知らない品質管理屋は、生産活動を管理できないから、真の品質管理はできない。」とよく説明している。 |
| 4月に訪問したある印刷会社は、ISO9000のマニュアルを「品質マニュアル」とせず、「品質管理マニュアル」にしたのは、私と同じ趣旨である。「品質システム」や「品質マニュアル」では、品質は「静的」な意味なので、生産活動全員の問題であるとことが伝わらないためである。 |
| ある小企業で、品質管理課が誕生して、2年くらい経ったので、コメントを求められたので、訪問した。毎月、その品質管理課から「品質管理月報」が発行されていた。そこには、きちんと品質に関する統計がまとめられていた。その2年くらいの統計を見て、私は、不良率の第1位が同じなので、これは、品質管理不在の統計であるとコメントした。品質管理がうまくいっていれば、不良内容に変化があるはずである。この品質管理課は、統計データをとるコスト増加だけを発生させ、品質向上の成果に貢献していない。厳しい会社なら、リストラされる運命にある。 |
| 私は、出版社のアーバン社から、品質保証部のハンドブックを2冊発行したが、生産管理も含まれたものにした。それは、品質保証課が品質向上に貢献するには、現場を知らないとだめだという発想からである。佐武弘章教授の「トヨタ生産方式の生成・発展・変容」(東洋経済新報社)によるとトヨタ生産方式の原点は、トヨタが苦しかった1950年代に、大卒の技術屋が職人中心の現場に投入され、彼ら技術屋が、後のトヨタ方式を生み出す大きな要因であることを分析している。 |