審査機関いろいろ(H12年6月第2週号)
 最近、中小企業も、ISO9000取得について、大手企業の取得後の状況をいろいろ研究しており、審査機関も何社も訪問したり、問い合わせたり、見積を取ったりして、その結果、選択している例が多いようだ。
 最近、私が訪問した中小企業A社、B社の2社が、それぞれ有名な10くらいの審査機関を訪問して、その結果をまとめて見せてくれた。
1. 工程設計を設計と認めるか
 A社は部品メーカーであるから、工程設計を設計とみなすかの調査の結果をまとめていた。ある審査機関は、否定していたが、問題ないとした機関が5つあった。調査してから考えるという機関が2つあった。
2. 管理規定なしで問題ないか
 A社もB社も管理規定がない。A社が訪問したある機関では、管理規定無しのマニュアルを見せたら驚いて「こういう考えもあるのですね。」と言ったという。無しで別に問題ありませんという機関が6つあったという。
3. 見積の提示をしてくれるか
 B社で、調査したら、気軽に審査見積りを出してくれる機関が多かったが、決定しないと見積りを一切出さないという高圧的な機関が1つあったという。
4. 高圧的な態度があるか
 B社の調査では「審査は対等です。規格以外、余計な審査はしません。企業は顧客です。審査員もミスをするので、クレームはどしどし言ってください。」という説明をするところと、いかにも高圧的なところがあったという。雰囲気が全く異なるので、すぐ比較できると言っていた。
 私は、数年前、広島地方の企業に数年、改善指導で訪問していたが、そこのあるタクシー会社では、どの運転手も礼儀正しく、乗車すると「ありがとうございます。」と帽子を取る。雰囲気が良い。そこで「会社で何か特別な訓練をしているのか。」と運転手に聞いたら、「別にしていません。タクシーの運転免許を取るときに、皆、お客への態度の講義を受けているので、その通りにやっているだけです。これは、全国、同じ講義です。問題は、その講義通りやっていない運転手が多いのでしょう。」と言った。
 タクシーも、サービス業という大義名分がある。これを忘れると、本人も目標を見失う。審査機関も、審査員も、教師も警察官も立派な人もいるが、好ましくないことで、新聞記事になることもあろう。皆、それぞれ、大義名分のある仕事である。しかし、大義名分を忘れ、金儲けや利権に走ると、目標を見失うことになり、長い目で、損失となろう。
 MITのレスター教授が、伸びる企業はTQMとかマーケティングでなく、「内なる声」すなわち、何かその企業が存在する大義名分のような使命感があると指摘しているのは、興味がある。トヨタは、改善の使命感のような「内なる声」があるのが、カンバン方式の背景にあることを見逃しやすい。