雪印問題と是正・予防処置(H12年7月3週号追加)
 雪印問題は、13日の夜7時35分にNHKで特集があった。また、雑誌「日経ビジネス」の7月17日号でも記事があった。そして、問題は、食中毒の不適合品の発生を起こした低脂肪乳の製品不適合だけでなく、大阪工場では、品質保持期限の切れた返品商品の再利用、屋外での脱脂粉乳溶解作業など、不適合品は未発生だが、「不適合な作業」が発見されている。
 日野工場は、洗浄の手順書と洗浄の記録がないということが東京都の調査で分かり、操業を停止したが、その後の製品試験で問題ないことが分かり、操業を再開したという。しかし、全工場、逐次、運転を停止し、徹底的な点検を行うという。大阪工場は、廃止するということも言われている。
 日経ビジネスによると、石川社長は「一工場をもって、全部の工場がそうだということはない。」と語ったとしているが、日経ビジネスは、さらに水平展開をして雪印の「構造腐食」だとして「企業全体の体質の不適合」まで、原因をさかのぼり、体質改善までの対策が必要としている。これをISO9000の是正処置と予防処置を適用すると、どこまでが是正処置でどこからが予防処置であろうか。このように、人により原因の深さが異なるのが改善である。
 直接の原因は、人手の洗浄を怠ったということなので、その洗浄管理を改善することが是正処置として考えられる。また、今回、問題になった菌は、出荷検査をしていないというので、検査項目に追加するという対策も考えられるが、大領生産なので抜取検査となろう。しかし、QS−9000では、検査に頼る対策でなく、ポカヨケを要求している。ポカヨケ的な方法では、原因は装置構造的な問題なので、低脂肪ラインの露出したバルブであるから、装置改善を行い、タンク間の切り替えを機械化し、バルブを露出しないようにし、自動洗浄する改善も考えられる。もっとも、このラインは厚生省に申請していないラインとのことである。最初から不適合であったということになる。是正処置でもこのようにレベルが異なる。
 しかし、この不適合品問題から、日経ビジネスの言うように企業の体質改善まで掘り下げると、対策の深さはもっと深くなる。さらにその体質の根底には、牛乳の補助金制度もからむ。このように、是正処置と予防処置との境目は、明確でない。「レベルの高い対策」と「レベルの低い対策」がいろいろあるだけである。
 NHKのインタビューでは、社長は「文科系出身なので、技術的なことはよく知らない。現場を信頼していた。」というようなことを語っていたが、良い牛乳を消費者に提供するという企業の経営管理者が基本的な衛生管理技術について知らないというのは問題であろう。ISO9000では経営資源の提供は経営者責任である。メーカーでは、技術的なことは知らないとは言えない。しかも、食品衛生は、家庭の調理場レベルの問題でもある。これを聞くと、東大阪出身の作家の司馬遼太郎がノモンハン事件で、当時の将軍が、敗色濃くなったとき、「日本の兵隊さんは優秀だからなんとかしてくれるだろう」と言ったというが、これを連想した。昭和以来の日本人の伝統的なマネジメント体質であろうか。