| 7月5月、6日の夜、NHK教育テレビで「医療過誤」の番組があった。 |
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| 1.3現主義 |
| 印象的な事例は、5年前、フロリダのマーティン・メモリアル病院の事故である。7歳の少年ベン君は、耳の腫瘍手術中に、異常を起こし、意識不明となる。この連絡で、この病院のリスクマネージャーが、即、現場にとび、現場のすべての器具(現物)を抑えて確保し、分析機関に分析を依頼した。見事な3現主義(現場、現物、現実)である。残念ながら、ベン君は、翌日、死亡した。アメリカでは大きな医療過誤問題となった。分析の結果、指定されたのと、異なった麻酔薬が用いられ、その原因は薬を用意した2人の看護婦のミスであることが分かった。 |
| ミスの内容は、ベン君の両親に隠さず、詳しく説明された。そして、リスクマネージャーは、このベン君の失敗から、どういうように予防処置を進めているかを明確に両親に説明し、かつ、再発防止の支援を求めた。 |
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| 2.ポカヨケ対策 |
| 病院がとった予防処置は、手術中のあるトレイには、ある時点に、ある薬品が1種類しかないようにする方法であった。これは、自動車部品の「異品」クレーム防止に似ている。部品の製造中に、かならず、ある時点には、その製造場所に、一品しかないように、流れ作業にすることが、効果的な「異品」防止である。水際のダブルチェックは、再発する。 |
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| 3.マネジメント責任 |
| 最終的に、病院は、ベン君の両親に賠償金を払ったが、2人の看護婦はお咎めなしであった。2人の看護婦については、調査中も、どちらがどうであったという個人的な追及はなかったという。マネジメントの責任となっている。末端に責任を押し付けていない。 |
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| 4.品質保証とは |
| こうしたメモリアル病院の再発防止の積極的で、公平な進め方とオープンな説明の中で、ベン君の両親は、息子の死亡にかかわらず、この病院に信頼感を持つようになる。病院もミスをする。どんな病院も完全でない。しかし、その医療の品質保証、すなわち、患者やその家族に信頼感をあたえる品質保証は、このようなオープンに説明する姿勢と、マネジメント責任の明確化によって実現できる。 |
| その意味で、雪印も荏原製作所もHACCPやISO14001を返上することはなかったのである。直ちに、正確な原因を調査し、オープンにし、具体的な対策を明示したら、ベン君の両親のように、市民からの信頼感を得ていたであろう。もっとも、それができなかったから、返上したのかもしれない。 |
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| 5.予防処置とは |
| この場合、予防処置は、どこまでひろがるのであろうか。国を超えることもできる。このNHK特集では、アメリカの病院が、航空機業のリスクマネジメントを導入していることを示している。そして、それには、ニアミスも含めた現場からの積極的なミスの情報が不可欠であり、これも利用している。これも労働災害防止のハインリッヒの法則を利用している。ハインリッヒは、1つの大事故の背景には、300のニアミスがあり、これに注目して、この300のニアミスを防止すれば、大事故を防止できるとしている。 |
| このニアミス報告は、現場第1線からあがってくる。だから、このNHK特集で、インタビューに答えたアメリカの厚生省の役人は、「ミスを報告したからといって、それを責めてはならない。責めたら、積極的にミスを報告しなくなり、大きな医療過誤を防止できない。」と強調していた。 |
| この特集に出席していたハーバード大学医学部の李助教授は、「横浜市大病院の患者間違いで横浜市大病院は、入院患者に腕輪をつけるようにした。しかし、その後、日本からアメリカに見学に来るいろいろな病院の人に腕輪をしているか、と質問すると、していない病院が多い。」というこであった。水平展開が遅いのは、アメリカと比較すると、根底に、医療業界にアメリカと異なる体質があるのかもしれない。 |
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| 6.八尾総合病院(大阪、八尾市)の例 |
| この病院では、昨年から、リスクマネジメントを導入し、小さな事故を報告するため「事故報告書」制度を実施して、1年で1,300件の報告が出たという。これをリスクマネージャーなど、4名が分析し、効果的な対策を立てているとのこと。テレビでは、朝と夕方の薬をまちがえたという問題を討議していた。また、同姓同名の患者のカルテを間違えたという事務のミスを、リスクマネージャーが現場で実情を調査している映像が出てきた。真剣である。製造業も品質保証部長と言わないで、リスクマネージャーというほうが無駄な書類作りに没頭しないで、真剣になるであろう。 |
| これらの問題解決には、トヨタ生産方式の5Wによる真因追及、3現主義、そしてポカヨケ発想や技術改善発想による具体的対策が効果的に使える。その意味で、朝と夕方の薬の違い防止策、カルテの間違い防止策は、どうなったのか、興味があったが、取材は、そこまで突っ込んでいなかったのは、残念である。 |
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