2社の予備審査風景から(H12年8月1週号追加)
1.A社ようやく予備審査受ける
 このホームページの6月3週号に載ったA社がキックオフから1年経ち、ようやく予備審査にこぎつけた。ところが、審査員は冒頭、「今日は予備審査なので、気楽に分からないことがあったら、質問してください。」と言った。会社はコンサルを要請していないから、審査員がコンサルタント的な助言をするという意味なら、審査ルールのISO10011違反である。良心的に解釈すれば、「審査の進め方で分からないことがあったら聞きなさい。」である。
 しかし、その後のアドバイスは、まったくコンサルティング的な内容であった。しかし、社長だけは、審査というものを理解しており、審査員の質問にてきぱきと答えた。予備審査を終わって、数日後、社長とあったら、「審査員が『どんどん、分からないことを聞きなさい。』と言った瞬間から、当社の社員は、皆、生徒になってしまった。先生が審査員となった。先生は、138のshallなのにーー」と憤慨していた。
 審査員の指摘には、例えば、「トレーサビリティは、顧客の規定要求事項にある場合はそれに従うとあるが、自主的に行う場合が書いていない。」という指摘があった。A社は部品メーカーである。自主的に、製品に製造番号を刻印したら、顧客からクレームになる。ISO9000―2では、規定要求事項は、受注生産の場合は、顧客要求事項であるとしている。審査員は、部品メーカーに素人であるようだが、企業側は、これを反論できなかった。しかし、この企業は、マニュアルをほめられたし、社長の理解度が高いので、今後、反省して、理論武装すれば問題ないであろう。
2.B社QS−9000でもめる
 この企業もこのホームページにB社として載った企業である。審査で、問題になったのは、「管理計画書」であったという。日本流に言えばQC工程表である。審査員は、全製品、「管理計画書」が必要だという。部品メーカーだから、千数百点の部品に作らないといけない。しかし、QS−9000では、図面番号ごとでなく、ファミリーの管理計画書でよいということが書いてある。それで、QS−9000を取得している企業が多い。だから、この企業もファミリーの管理計画書はある。ところが、審査員が全図面番号を書けという。なぜ、そのようにもめて審査員が強硬になったかというと、その社長が、格好良いQS−9000をとるという姿勢があり、強く抵抗する姿勢がなかったためであるようだ。
 全品番必ず、管理計画書を書けなどという要求はQS-9000にはない。4月にイギリスに行ったとき、2社はすでに、QS-9000を取得していたが、全部品に管理計画書は書いていなかった。今年春、QS-9000を取得した日本の大手の部品メーカーも膨大な部品点数なので、工程表はあるが、管理計画書は限られた部品しかない。
 B社は、昨年、現場を歩いたとき、自動車部品メーカーなのに、トヨタ方式をあまり適用していない点に気が付いたが、それが、このような文書過剰を安易に受け付ける経営姿勢になったといえる。重いシステムを半永久的にひきずることになろう。またして、経営者の姿勢が、審査員の姿勢に反映した例が生まれた。
 最近、ある小企業の会社がISO9000の準備で、県の紹介で、ISO9001をとったという小企業を見学したという。その企業は社長のリーダーシップで取得したというが、審査で、審査員とある指摘で対立し、「今まで、品質で大きな問題はなかった。なんで、そこまでしなくてはならないのか。」と、社長は、審査員の指摘を受けず、10分間くらい沈黙したという。結局、審査員が折れ、無事、認証したという。社長の姿勢が、審査員に反映した例である。
 最近、経営者が、ISO9000を取得して、販売に貢献したという事例発表があるが、眉唾が多い。審査員に、卑屈になって取得した例が多い。こういうように体を張って取得した例は少ないようである。