消えるか特殊工程(H12年8月2週号)
2000年改訂では、特殊工程という名称は、なくなるそうである
1. 初版での特殊工程
 特殊工程は、ISO9001/2の初版で「4.9.2 特殊工程」という独立項目があった。そこには「特殊工程とは,事後の製品の検査及び試験では,その効果が十分に検証できない、また,例えば製造の欠陥が製品の使用段階でしから現れないような工程のことである。」と本文に明記してあった。
2. 特殊工程の問題点
「事後の検査」とあるが、品物がないと検査はできないから、検査は事後であるのは当然である。したがって、よく特殊工程の例であげられるハンダ付け、溶接、焼入れ,塗装,メッキなどは、事後の検査は可能である。ハンダ付けや溶接は抜取りで破壊検査は可能である。焼入れも測定器があり、時間がかかるが破壊検査でなく、内部まで組織検査はできる。塗装やメッキも膜厚計があり、検査できる。全数検査は経済的でないので、抜取検査をしているだけである。工程が安定していて、工程能力が十分であれば、抜取検査で「十分に検証できる」。特殊工程にならないことになる。パラメーター管理は、特殊工程だから行っているのでなく、「4.9 工程管理」の d)に「適切な工程パラメーター及び製品特性の監視、並びにこれらの管理」を行っているのである。「品質は工程で作られる。検査で保証できない。」から、検査だけに頼よるのは、危ないし、経済的でない。プレス部品も型で品質が決まるので、初物をチェックして、問題なければ、後は、全数検査しない。しかし、プレス工程は、特殊工程にしていないのは、初物検査や、途中の抜取りで「十分に検証できる」からである。
「製品の使用段階でしか現れないような」というのもあいまいである。それでは、自動車のリコール問題は起きないし、起きたら、特殊工程となるのであろうか。このように、特殊工程はおかしいので、1994年の改訂進行中の当時では、94年版から、特殊工程はなくなるということであった。
3. 94年版での特殊工程
 ところが、改訂版では、特殊工程という名称は、「参考16」に残った。「工程能力の事前認定を必要な工程は、しばしば特殊工程と呼ばれる。」となった。しかし、「品質は工程で作られる。」のが大原則であるから、すべての工程は事前認定を行うのは、常識である。検査はコストがかかる。品質保証をできるだけ無駄なコストをかけないで、高度の品質を達成するには、工程を安定させることである。そうなれば、ある検査項目は抜取検査で十分に検証できる。
 即席ラーメンは、大量生産である。しかし、全数検査は、金属検出器による金属異物と、ウエイトチェッカーによる重量検査くらいのものである。他の品質項目は、パラメーター管理である。全数検査していない。それで「十分に検証」できる。
 ある自動機械で加工している工場で、スポット溶接だけ、特殊工程にしていたら、予備審査で審査員が「全部の工程が特殊工程である。」と言ったことがある。検査は、抜取りで、後はパラメーター管理であるからだ。しかし、本審査では別の審査員が来て、スポット溶接だけが特殊工程であるとした。このように、ばらつく原因となっていた。審査員も振り回され、企業も振り回される。特殊工程による混乱の歴史は、13年で終わるのであろうか。13年間は徒労であったのか。