1冊マニュアルとは?
(H18年3月1週号)

A 氏: インターネットでISOのあるサイトを見たら、「品質マニュアルに必要な手順や『プロセスの効果的な計画・運用・管理に不可欠な文書』を帳票・様式とともに入れ込んでしまえば、文書は品質マニュアルだけでほとんど事足りることになる。これは中小企業向きである。」とありました。1冊マニュアルは、西沢さんのアイデアと思いますが、本当に、すべて品質マニュアルに全文書を入れ込んでいるのですか。

私 : 違いますね。通常、図面、作業標準書、検査基準書などは、枚数が多く、品質マニュアルに含めることは不可能ですし、ムダな改訂管理の増大になります。別の文書分類にします。

A 氏: ということは、一冊マニュアルの正確な表現はどういうことになりますか?

私 : 管理規定がないという意味です。品質マニュアルの文章に「詳細は○○管理規定による。」という引用がないのです。要するに、その企業の品質マネジメントシステムは品質マニュアルですべて具体的に分かると言うことです。「4頁品質マニュアル」は別に管理規定があるから、異なります。私の場合、除外を含め、136のshallについて、品質マニュアルで全部ふれるので、50頁くらいになります。300人くらいの中堅企業まで可能です。「4頁マニュアル」では、136のshallのカバーは不可能です。コストダウンとなりますが、私の場合は、バリューアップです(このHPの品質・環境に関する社会問題コーナーの「JR西日本事故のコメントにおけるバリューという見方の欠如:H17年5月3週号」参照)。

A 氏: ということは、その背景に、管理手順書と技術文書とが明確に区分されているという明確な考えがあり、これが分からないと、1冊マニュアルを正確に理解できないということですね。管理手順書が品質マニュアル1冊で終わりということですね。

私 : そうです。95年に発行された「ISO10013 品質マニュアル作成の指針」の付属書Aに、品質マニュアルの下に管理規定があるという3階層図があったので、中小企業でもそれにならったらしいのですが、その図の注に、「階層レベルは分離しても、相互に参照しても、組み合わせてもよいとあるのを見ていなかったようですね。

A 氏: その2001年改訂版のISO/TR10013「品質マネジメントシステムの文書類に関する指針」にはsingle manualの説明がありますね。さらに重要な背景は、マネジメントシステムと製品要求事項を実現するシステム(コアシステム)の区別と対応していることです。製品要求事項実現のための文書は、企業によって技術内容が異なるので「技術文書」として別に分けるのですね(このHPの統合システムコーナーの「T.統合マネジメントシステムを成功させるための前提となる常識(5)」参照)。

私 : その通りです。だから、マネジメントシステムに関する文書は、ISO9001の改訂の影響を受けますが、技術文書は無関係です。そのため、私の指導で94年版でISO9001を取得した企業は、2000年版移行のとき、品質マニュアル1冊の改訂だけで、技術文書は全く改訂の影響なしでそのまま移行しました。実に簡単な移行でした。