矛盾する審査機関の行動ルール
(H18年3月4週号)

審査機関Tは次のような審査員の6つの行動ルールを公示している。しかし、6つは相互に矛盾しており、実際の審査ではかなりの混乱が想像される。カッコ内は私のコメント。
1.「被審査企業と審査員は対等である」
 

(これは、審査がフェアなための当り前の条件であり、強調するのは不要である。)

 

2.「プロフェッショナルとして審査サービスを提供」
 

(どういうプロなのかが問題。販売のプロなのか。多くの企業経営を改善してきたプロなのか。ある専門知識のプロなのか。文書好きのプロなのか。「何百社も審査してきましたから。」とプロであることを自信満々で自慢するベテラン審査員ほど、危ない。レベルが低く、間違った審査結果を押し付ける(このHPの審査/コンサル体験談コーナーの1.の「A社のISO9001:2000審査対応:H17年12月4週号」、同コーナーの4.の「『付加価値ある審査』とは書類の付加のこと?:H16年2月2週号」参照)。

 

3.「わかりやすい審査」
・規格用語は避ける・規格の順番通りの審査は避ける
 

(ISOの審査で規格用語を避けたら、審査にならない。例えば、「経営者のコミットメント」は、どのような「わかりやすい」用語にするのか。あるいは、JIS訳での審査はしないということか。新用語作成のとき、審査機関の独自解釈や審査員の個人的な解釈が必然的に発生する。その怖さの自覚がないのが怖い。すでに、キープロセスとか、ミニマネジメントレビュー会議とか審査機関独自の新語を審査に使ってトラぶった例もある(このHPのISO9001項目別分類の5.の「マネジメントレビュー問題続く:H16年3月4週号」、審査/コンサル体験談コーナーの2.の「キープロセス、プロセスアプローチ、PDCA審査・後日談:H15年11月4週号」参照)。

 

4.「適合性の審査をし、『個人的見解』での不適合なし」
 

(「適合性の審査」とは、厳密に規格要求にしたがって、審査するということである。上記の3の「規格用語は避ける」「規格の順番通りの審査は避ける」と矛盾。ISOは、マネジメントシステム審査だから、製品検査と違い適合性の判断は一律に決まらない。企業は多種多様であるから、最終的に企業現場に行った審査員個人の「個人的見解」でないと審査は不可能である。この怖さの自覚がない(このホームページの「統合システム」コーナーの「T.統合マネジメントシステムを成功させるための前提となる常識(2)」の項目4参照)。

 

5.「外部の第三者としての『健全なる外圧』」

 

(どういう「外圧」が健全なのか、不明である。「適合性の審査」そのものが、第三者としての客観性・独立性をもつものであるから、それ以外、いかなる外圧も健全でない。

 

6.「企業側に経営メリットが得られるきっかけ作り」
 

これは付加価値審査。4.の適合性審査の原則と矛盾(このHPの「審査/コンサル体験談の4.の「付加価値のある審査の問題点:H16年4月3週号」「アイソムズ04年12月号の「適合性審査とその付加価値」「審査は改善?:H17年1月4週号」参照)。