特殊工程の間違った運用
(H18年4月1週号)

B 氏: 「特殊工程」という言葉が、ISO9001:2000では消滅したというのは誤解だね。用語定義のISO9000:2000の「3.4.1プロセス」の参考3に健在だからね。昨年、改訂版されたISO9000:2005でも“特殊工程”の用語はそのまま残っているよ。ISO本部では捨てきれないようだ。
それに「特殊工程」という単語はISO9001:2000実務者としては便利だよ。この単語がないと、「製造及びサービス提供の過程で結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な工程」という長たらしい名称を使用しなくてはならないからだ。分かりにくいし、社内や審査で議論するときに、通常の会話が成り立たないよ。

A 氏: だから、品質マニュアルで、「当社では、『製造及びサービス提供の過程で結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な工程』を『特殊工程』という。」と定義するようにしているよ。

B 氏: その1行で、「2000年版では7.5.2は94年版の『特殊工程』だけではない。」という不毛の神学論争に終止符を打てるね(このホームページのISO9001項目別分類の7.5の「真夏の昼の怪談?ある審査風景:H17年9月2週号」参照)。

A 氏: こんな意味のない問題の議論のために、肝心の2000年版の「妥当性確認」の追加改訂の重要性がおろそかになっているようだね。再確認の要求まである。この2000年版の妥当性確認の追加をあまり、重視して議論されていないし、審査員も注意していないね。これをあいまいにして、審査している例が多いようだ。

B 氏: ある外注で、94年版では特殊工程にしていたハンダ付け工程について、2000版のとき妥当性確認のため、破壊検査をしなくてはならなくなった。ところが、顧客の図面に明記されているのは、通電性だけ。これは全数検査しているので問題ない。そして、顧客の図面には強度指定がない。だから、破壊検査をしても、判定が出来ない。結局、作業者の認定制は継続したが、2000年版では妥当性確認は実行しても意味がないので特殊工程から除外した。すなわち、特殊工程の範囲が狭まるという逆の現象が生まれた。しかし、ハンダ付けは特殊工程だと頭から信じている審査員は、この妥当性の確認の追加の意味が理解できず、最初は、反対したね。

A 氏: 以前、学校給食の大きな炊飯釜を作っている会社があり、釜の溶接工程があった。94年版では、溶接だというので、特殊工程扱いだったが、法的に密閉強度は全数検査なのだ。不合格なら破壊する。これが経済的に出来る。だから、2000年版では、「容易に」「経済的に」検査できるので、この溶接は特殊工程でなくなった。これも審査員は甘くしたとして最初反対したね。別に甘くしたわけでなく、規格の本文の要求に正確にきちんと対応しただけなのにね。

B 氏: 特殊工程はまだまだもめそうだね(このホームページのISO9001項目別分類の7.5の「消えるか特殊工程:H12年8月2週号」参照)。