個別製品の品質目標の扱い方
(H18年6月1週号)

K 氏: 当社は地質調査会社です。7.1のa)項の「製品に対する品質目標及び要求事項」を明確にせよ、との要求に対応して、当社では「製品の品質目標」を「業務固有の課題」と定義しています。しかし、社員も「?!」という反応で、我々事務局が間違っているのか正しいのか、自信が揺らいできました。
「この物件では気むずかしい地主が居るから用地交渉は注意しろよ」とか、「今は田ンボに水を張る時期だから、調査するとき、水路から絶対水を汲むな!」とか、「顧客要求事項にとどまらず、このような解析まで行って、顧客の設計業者に注意を喚起しておこう」とか。
当社の業務の7割方の個別業務は調査業務であり、いわゆる「フツ〜の仕事」、あるいは、「土の試験5試料」みたいな、超単純な仕事が中心ですので、無意味な目標を無理に作っている感じです。

私 : 私が関係して認証した地質業者例では、7.1のa)項は「これは物件ごとの製品要求事項の明確化である(このマニュアルの「7.2 顧客関連プロセス」参照)。すなわち、物件名称ごとに「受注内容書」により明確にする。」で終わりです。他の同業者ではもっと簡単で「顧客名と物件名により示される。」で終わりです。

K 氏: 7.1 a)では「品質目標」及び「要求事項」の2つの項目が独立してあり、何か、「要求事項」とは別の物を考え出さなければならないのかと思っていました。
過日、地方の事業所の内部監査に行って、品質目標の件で、監査そっちのけ?で当地の技術部長と2時間も議論してしまいました。彼に言わせると、「品質目標という言葉から来る印象が、ひどく重い。普通にやって、普通に出来る仕事は、数多くあり、業務特有の課題と言われても、ピンと来ない」と言います。工事の現場審査に来た審査員氏は、「顧客の指定する公差が±5cmなら、もっとシビアに、±3cmにしよう、などということです」と言っていました。この説明は、わかりやすいのですが、地質調査報告書に公差という代物は無く、「ハテ?」と悩み、「この業務における特有の課題」となった次第です。

私 : なるほど、7.1 a)の「製品に対する品質目標及び要求事項」を「品質目標」と「要求事項」とに厳密に分けた解釈をしているわけですね。原点はそこにありますね。
個別製品特有の改善目標などは四国架橋のような大プロジェクトにしかないでしょう。だから、私は、個別製品の品質目標は顧客の個別要求事項の達成としています。
もし、こういう神学論争に事前に対応するとしたら、品質マニュアルに「製品個別の品質目標は5.4.1の品質目標に総合的に定め、それに準ずる」としておけばよいでしょう。
7.1 a)にこういうもめ方があったのは、はじめて知りました。訓詁学ですね。他の企業でもめているところもあるかもしれません。
なお、製造業でも通常、公差縮小は品質目標に登場しません。公差±5cmを十分満足するために、工程のバラツキ縮という品質目標を立てるのが普通です。その審査員は公差の意味がわかっていないようですね。バラツキを改善するには工程を改善しなくてはなりません。そうすると、その工程を何百と通過する個別製品に共通のテーマとなります。5.4.1に吸収されますね。