ナンセンスな“shall”の勘違い
(H18年7月3週号)

A氏: 当社は地方の建設業です。審査機関はM審査機関です。
ISO14001:2004の審査で、審査員が規格の要求にないことで不適合を指摘し、修正を要求したので、「修正は必要ないのでは」といったところ、必要であり、かつ、その根拠は以下の通りであるといった意見がメールできて驚きました。
以下はその時のメールに添付されていた文書です。

----M審査登録機関からの添付ファイルより引用----
・JAB発行の指針、基準に記載された“should”項目の扱い
“shall” はしなければならない(要求事項)、”should” は望ましい(推奨事項)が一般的な指針、基準の解釈です。
しかしながら、JAB RE300‐2004 0.1.4項の規定により、”should”は、審査登録機関が定めた同等の独自の方法をもたない限り、これに従わなければなりません。当審査機関はJABの認定を受けて、審査登録を行っており、弊社の「審査登録規定(環境編)」に記載のごとく、(JISQ14001の他に)JAB RE100、R/CP200に従わなければなりません。
このことは、IAFの指針であり、認定を受けた全審査登録機関に適用されます。御社におかれましても、残念ながら、受け入れていただかなければなりません。ご理解の程、よろしくお願いします。

以上です。要するに、M審査機関が独自に決めたルールで、審査ができるという意味に使っているようです。これでは、審査機関の任意の基準で審査できるという意味ではないですか。審査システムの崩壊です。

私:

この審査機関からのメールに次のように2つの問題があります。

1.ここで扱っている”shall”と“should”はISO14001:2004のものでないこと
この審査機関からのメールには主語となる規格名が抜けています。それはISO/ITC0066 (JIS Q0066)のガイダンスです。これは審査登録機関として認定機関(日本の場合はJAB)が審査する基準です。ISO14001:2004は関係がありません。
この「“shall” はしなければならない(要求事項)、”should” は望ましい(推奨事項)が一般的な指針、基準の解釈です」という文章は、このガイダンス規格の0.1.4項に出てくるもので、JAB規格としてJAB RE300‐2004としているのです。
この規格はガイダンスなので”shall”とともに、”should”が多く出てきます。ISO9001:2000やISO14001:2004のように本文はshallだけという規格と違います。
2.”should”の扱い方が間違っていること
ISO/ITC0066 (JIS Q0066)の0.1.4項では、審査登録機関で定めた方法がこのガイダンスに適合していない場合でも、ISO/ITC0066 (JIS Q0066)の関連条項に何らかの方法で同等の方法で適合していることを認定機関に対して実証できる場合のみ、認定可能であると要求しています。
すなわち、上記のM審査機関からのメールの「”should”は、審査登録機関が定めた同等の独自の方法をもたない限り、これに従わなければなりません。」は間違っています。ガイダンスには「審査登録機関が定めた独自の方法を許す」という文章はありません。論理が飛躍しています。

しかし、これも企業審査には全く無関係です。

それにしても、このメールの文書はM審査機関の統一見解文書なのか、たまたま、その審査員がとんでもない個人的な誤解をして修正して使ったのか分かりませんが、認定基準と審査登録基準を混同するとは幼稚なトラブルですね。
こういうトラブルは前代未聞のようです。こういうことに疑問を持たない審査員がいるのですね。質が低下しているように感じました。