有益な環境側面・その2
(H18年9月3週号)

A氏:

製品設計者が「部屋の電気を昼休みなどまめに消す」のが有益な環境側面だとする間違いは、基本的にシステム構造のどういう誤解に基づくものなんだろうね?

 

私:

基本的な考えはVE(価値工学)の考えを応用すると理解しやすい。
VE(あるいはVA価値分析は製品や材料の機能を分析することから始まる。そのために、製品や材料など、改善対象の機能を「名詞プラス動詞」で示す。
昔のテキストでは、白熱電球が例として出てきたね。白熱電球の機能は「光を出す」だ。それなら、電球で不燃性ガスを密封する部品の機能は何かというと、「継続的に光を出す」というように表現できる。
これがないとフィラメントはパッと瞬間的に光を出すが、すぐに燃えてなくなる。
この2つを区別するために、「光を出す」を基本機能、「継続的に光を出す」を補助機能という。次元が違う。

 

A氏:

なるほど、マネジメントシステムは、コアシステムの補助機能か。

 

私:

この考えで、統合マネジメントシステムを整理してみると、品質、環境、労働安全衛生のマネジメント間の関係も同様の次元の違いがある(このHPの基礎知識コーナーの「PAS99とは?:H18年7月4週号」参照)。
品質の活動があるから、環境と労働安全衛生が発生する。逆は成り立たない。
環境を最優先にするなら、企業活動をやめれば一番いいのだからね。

 

A氏:

例えば、シュレッダーを作っている会社では、シュレッダーの作成がコアシステムになるね。それが会社の基礎的な存在価値だね。

 

私:

そうだね。顧客の要求を満足した品質のシュレッダーを作ること(品質マネジメント活動を含め)が、その会社のシステムの目的だよ。これが基本的な活動だね。
そして、その活動には環境に影響を与えるという不可欠な副作用が並行してある。そういうリスクがある。そのリスクが環境側面だよ。
これがISO14001:2004の4.3.1のa)の環境側面の特定だよ。
その中からb)で「著しい環境側面」を特定する。
次にそのリスクを減らす活動が、環境のPDCAのマネジメントシステムでコアに対する「補助活動」として発生する。

 

A氏:

「顧客の要求を満足した品質のシュレッダーを作る」目的をいかに環境へのリスクの少ない手段で作るかということになるね。

 

私: そうだね。シュレッダーの設計者は、環境マネジメントシステムのPDCAの要求から「部屋の電気を昼休みなどまめに消す」という「手段」で設計活動をするわけだ。
「部屋の電気を昼休みなどまめに消す」は、設計活動の目的ではないし、環境マネジメントシステムのPDCAなしでの設計活動に本質的に存在する活動ではないね。