M社のISO9001:2000改革
(H18年10月4週号)

1.M社のISO9001:2000取得
M社は30人程度の会社。製造機能のほとんどは専門外注である。
昨年10月、コンサル会社の指導で取得。しかし、大手型の文書過剰なシステムで取得したため、典型的な二重システムとなった。

2.管理責任者から当社への支援依頼
管理責任者は1年ほどの実施経過でシステムの失敗を感じた。たまたま、当社の指導を知り、検討依頼がきた。私は訪問してシステムの実状を見て唖然とした。大手型の押し付けによる典型的な失敗例。高い金をもらい、会社に不利益なシステムを押し付けたコンサルに腹が立った。しかも、shall発想がないから、shallを満たしていない重要項目があるのに認定されている。
改革の手順を次のようにした。
(1)臨時内部監査を実施し、事実を正直に記録する。
(2)これを社長に報告し、臨時マネジメントレビューを行い、システムの見直し指示を出す。
(3)それにそってマネジメントシステムの抜本的改訂を行う。
(4)維持審査では、上記の(1)と(2)を審査員に説明し、了解を得る。

3.臨時内部監査の実施
一例で下記のようなものが指摘された。
部門 ISO
No.
要求内容 不適合
社長

5.3b)
QMSの継続的改善 品質方針にコミットメントなし。
5.5.3
品質会議の開催 定例を開催せず、議事録作文。
5.6.1
マネジメントレビュー会議 会議開催なし。
8.2.2 内部監査 不適合があるのに総括書でもれ。
営業部 4.2.3a),b) 文書の承認、審査 製品が荷後、「受注確認書」まとめ書き。
6.2.2c) 教育・訓練の評価 講師コメントが有効性評価と重複。
7.1 製品実現計画 計画が製品完了後にまとめて作文。
7.4.1 購買先評価 評価内容が主観的で作文。
7.5.2 プロセスの妥当性確認 検査と混同。
8.2.1 顧客満足度 顧客アンケート結果は作文。
8.2.3 プロセスの監視及び測定 進度日報を後でまとめて作文。
8.2.4 製品の監視及び測定 検査チェックシートなどをまとめて作文。
設計
部門
7.3.1
設計計画 計画書を設計終了後にまとめて作文。
7.6 測定機器の管理 検査に使用していない測定機器まで校正。


4.社長のマネジメントレビュー記録書による改善指示
「先日、行った内部監査の結果をみて、現在の当社のISO9001:2000マネジメントシステムは、実務的に大企業型の帳票システムを導入したため、あまり意味のない書類作りとなっており、ムダなコスト、モラル低下を起こしつつあると判断する。
当社は、創業以来、品質面において顧客の信頼と満足を十分得てきた歴史があり、ISO9001:2000が要求する内容を実質的にすでに実施して来た自信がある。
したがって、人まねのシステムでなく、今までの当社の業務の進め方のシステム化に焦点をおくべきである
この種の弊害はISO9001:2000取得企業に多いと聞く。
当社はその二の舞をすることなく、早期にISO9001:2000の真の趣旨を原点にもどって理解し、当社の業種、規模ににあった効率的なシステムを設計し、建て直すようにすべきである。
この方向で、外部指導も仰ぎ、かつ、審査機関ともその旨を理解してもらい、当社の業績に寄与できるシステムに早期に転換することを管理責任者が中心となって行うように指示する。」

5.維持審査
維持審査ではあらかじめこの内部監査結果と、社長の指示書を送付して審査を受けた。
審査機関としては改訂したシステムについて受けざるを得なかった。
会社はひどいコンサルのためにこうむったムダなISO9001:2000の構築の詐欺的な被害からようやく脱することができた。