最近、もと指導先の2社からその後のデータを得た。 1・K社の場合
K社は約90人の従業員が活躍しており、中心はプレス加工で自動車部品を作っている。
ISO9001:2000の認証は約半年の準備期間を経て2005年4月に取得した。
それ以来、次のような改善効果があった。
(1)顧客クレーム
認証取得前は年間10〜12件。 ・05年4月(認証取得)から06年5月まで連続14ヶ月ゼロ
・06年6月有償支給材起因のクレ−ムが1件発生
(2)工程不良
改善活動として取り上げたワ−スト1位ラインの認証取得前不良率2.5〜3.0%(最悪時は8%前後)。
・05年4月から05年9月では0.08〜0.1%
・05年9月から現在までは0.04%前後で推移。
ISO9001:2000取得と改善の関係としては半年間の認証準備段階がポイントであった。この段階で次の転換ができた。
@どこかの参考書をほとんどそのまま取り入れたムダの多い、中小のプレス屋には意味のないどころか「悪」であった書類を否定できたこと
A背伸びしないですむQMSの知恵を出して構築できたこと B本来、品質のカギを握るのは、技術改善やムダ取り生産革新活動にあることを改めて自覚し、認証準備段階から書類作成でこれに集中できたこと
これにより、ISO9001:2000の正式認証とともに、従来の守りの品質保証から攻めの品質管理に軸足を移すことが出来た。これが数字の上でもあらわれてきたと考えられる。
現在、クレ−ムが発生しても、QMSが複雑でないので、何が弱点であったのか、認証前に比較すると原因が分かりやすくなり、対策が迅速にできる点もクレーム減少の大きな要因と考えられる。
2.V社の例
従業員約100名の中堅企業で、プレス加工及びその金型の設計製作を行っており、製品は自動車部品が中心である。
2003年にISO9001:2000とISO14001:2004を同時取得し、2006年に更新審査を受け、不適合ゼロであった。
品質・環境の統合マネジメントシステムとして、管理規定ゼロの統合マニュアルで認証を取得。認証前にあったムダな品質関連帳票を大幅に減少。特に、顧客支給図面のコピーをそのまま、加工図、検査図として活用することにより、転記と改訂の手間やミスが大幅に減少し、簡潔な基本品質計画書により誰も見ないQC工程表、作業標準書を廃止できた。
受注から材料手配、生産計画、生産指示、生産、検査、出荷までの購買、在庫管理等を含む既存のIT化した生産管理システムをできるだけ活用した。
システムの構築には若手中堅層が中心となったので組織的に活性化し、取得後にマネジメントシステムの組織の若返りを自然に進めることができた。
自動車生産が国内、海外共に増加し主要顧客からの受注が増加したにもかかわらず、ISO取得前は社内原因のクレームは年14件あったものが、取得中は12件、取得後は6件に半減。
その原因には先端工作機械設備を活かした金型技術力と製造工程における生産技術力の強化が大きく寄与しているが、背景には、効率的、かつ、体系的なISOマネジメントシステム導入により、「品質は書類でなく、工程で作られる」という本来の品質向上の考えが徹底し、ムダな書類が減り、その余力が工程改善に振り向けられたと考えられる。
すなわち、ISOのマネジメントシステムによる管理力と組織力強化が技術力とよい意味での相乗効果を出していると言える。 |