電話帳は文書か?
(H18年11月5週号)

K氏:

文書と記録の違いについては、「指示機能があるか?」がポイントであると、ずっと思っていました。したがって、当社では、帳票類は手順を含んでいるので、「文書」扱いとしております。「設計審査計画・記録書」などは、文書と記録の兼用帳票であることは容易に理解できるのですが、例えば、7.4.1の「業者調査票」(このHPのISO9001項目別分類の7.4「購買管理システム改善の議論:H17年12月1週号」参照)は、業者評価の手順が、帳票内に含まれているということで文書にならないでしょうか?
「不適合対策書」、「不適合品対策書」、「特採認定申請書」などは、是正処置の内容が「指示」となるので、「文書」として扱われるべきと思います。

 

私:

「指示機能があるか」はその文書を見て品質に影響ある行動を起こせるかという意味です。厳密にいうと「自社の作成・審査・承認者が自主的に意思決定した指示機能があるか」となります。ですからカラ様式だけでは文書になりません。
カラ様式はマニュアルで「この様式の文書を使え」という指示機能の一部として登場します。この場合、様式は手順の一つですが、あくまでマニュアルに付属した一部としての意味しかありません。

記入され、承認されて個々の文書として歩き出します。
「業者調査票」で個々の納入業者を「こういう管理方式で管理せよ。再評価はこの基準で行え」と記載して指示するシステムだと、記載後、文書となります。
なお、私は、7.4は ”文書化した手順” 要求がないので、「業者調査票」は様式登録すらしていません。マニュアルで「業者調査表による」とタイトルだけです。これを「タイトル登録」と称しています。まぁ、要するに重要なのは書類作成の形でなく、よく業者を観察するということですか。
文書の項目にこると、その記載に追われ、形式的に書くだけでよく業者を観察せずに評価は満点と思い込みます。本当の評価力は養成されない結果となります。それがマニュアル主義の欠陥です。
「不適合対策書」、「不適合品対策書」、「特採認定申請書」などは、是正処置等の内容が「指示」となるので、「文書」として 扱われますが、是正処置実施結果欄は記録となりますから、これらの書類は指示と記録の兼用帳票です。

 

K氏:

文書と記録の違いという事について、これまで余り突き詰めて考えていなかったのですが、「帳票は全て文書。そこに手順を含むから」という当社の考えは、おかしいというか、単純すぎるようですね。

 

私: ところで、営業や購買で使う電話番号は改訂があります。そこで「文書は改訂があるが、記録はない」という「文書と記録の違い」の応用クイズですが、この電話帳は文書でしょうか。
実は、この問題は87年版時代からあり、当時の文書管理は「文書及びデータの管理」というタイトルでデータという名称がありました。電話番号はデータに該当します。
当時の「中小企業のためのISO9000」の解説ではデータには文書機能のものと記録機能のものがあり、電話台帳は改訂があるから文書機能のデータとありました。
たしかに改訂があるので管理は必要ですが、文書管理とするにはなにか重箱の隅を突っつくようで違和感を覚えました。
そのうちに2000年版で「データ」はなくなりました。
私の文書の定義である「自社の作成・審査・承認者が自主的に意思決定した指示機能があること。記録と異なり改訂がある。」は社内文書の定義です。
ですから、この定義では電話帳は外部文書となります。ISO9001:2000の4.2.3のf)だけが該当します。
それと同じ考えで、私は顧客の品証部門が強制で品質保証体系図を書けというような文書は自社のISO9001:2000マネジメントシステムでは「自主性がない」ので外部文書としています。