| K氏: |
このHPのISO9001項目別分類のコーナーの「設計と製造の違いと設計インプットの意味は?:H18年3月2週号」で、地質調査は「設計活動の内の情報収集にあたり、設計者が必要とされる情報を得てくる」という位置づけの説明がありました。
その意味で、地質調査では製品としての「成果品(報告書)」作成が「製造」行為であるのは明らかです。
しかし、どうしても、当社の連中が納得しないのは、「調査の目的が違えば、断面線(地層境界線)の引き方も変わってくる。おかしな断面図であれば、後の設計に響いて来て、とんでもない不都合な設計成果が出てくる」というような事なのです。
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| 私: |
「調査の目的が違えば」とある通り、調査の目的は設計者の要求によります。調査者の決定ではありません。
設計者が要求する調査の目的が違えば、当然、その要求にそった調査活動が必要になります。
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| K氏: |
特に、崖崩れや地すべり関連の業務では、担当の部長に言わせれば、「解析断面が命」だそうで、彼と話していると、「我々は地盤モデルを設計している」と言っているようにも感じられます。つまり、地すべり防止対策の構造物の設計の前に、この地すべりの「地盤モデル」の設計がある、という訳です。
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| 私: |
砂漠で効果的に使用に耐え得る自動車を設計するには、砂漠の気象・地質状態などを正確に調査しなくてはなりません。砂漠を走る自動車設計にとって「砂漠の正確な調査は命」です。
一般に設計にとって、設計制約となる情報収集は「設計の命」です。地質調査だけの特徴ではありません。
また、地質とか人体のような自然物の完全な実態把握は科学や医学の発達でも不可能です。安易に人為的な「地盤モデル」を作るべきではありません。
設計は、人工物を設計することが目的ですが、調査は主観をできるだけ排除した客観的な自然物の描写が目的です。
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| K氏: |
地盤強度の決め方でも、定められた方法があるわけではありません。過去の調査結果を含めて平均するばあいも、隣接した場所で既に用いられている地盤強度に合わせてしまう場合もあります。
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| 私: |
自然物の調査は限界があります。その限界は永遠についてまわります。だから、妥協の産物です。
人体の調査も長い歴史があり、最近では心臓のカテーテル検査、胃カメラ、DNA、MRIと診断技術がすすんでいますが、まだ、完全ではありません。妥協の産物です。
医者はその限界がある調査情報で、やむを得ず個々の患者の処方(設計)します。不十分な調査情報をもとに設計するので設計者の主観が入ります。
だから、設計審査、検証、妥当性確認が必要となります。
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| K氏: |
顧客が最も関心を持つ部分も、まず「地盤モデル」にあるわけで、これを皮膚感覚で知っている技術屋連中は、ハナから「検査」という言葉自体に拒否反応を示してきます。悪いことに、最近は、調査も設計の一部として扱い、たとえ「地盤モデル」のレベルでも、調査会社に設計責任を負わせようという動きもあります。
知り合いの50人程度の地質調査会社も、成果品の提出前に「疑似DR]と称して、「検査」か「DR」か判然としない行為をやっています。
当社も以前、調査も7.3で管理する、として、社内で「総スカン」を食った上、審査でも「全く設計管理プロセスが動いていない」として、審査で重不適合を食らったことがあります。
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| 私: |
設計のアウトプットは、設計者の意図した人工物を描いたものです。成果品は、自然の産物である地質の状態報告です。それを設計のアウトプットとして人工物を作ることは不可能ですから、成果品を作るのは明らかに設計ではありません。
成果品の合否基準は製品設計の設計者が決めて要求することです。明確でないときは、顧客の設計者の意図を聞き、7.2.1の要求事項をよく確認し、設計者が要求する調査レベルを明らかにすることがポイントでしょう。
例えば、医者の診断・処方(設計行為)で、レントゲン撮影だけでいいのか、MRIまでやるのか、明確にすることと同じです。医者はレントゲンで診断ができないときは、MRIを要求するでしょう。
医者から「ある個人の理想的な人体メカニズムモデル」の作成を要求されたら「神の創ったものを私ごとき人間が完全に知ることは不可能です」と返事すべきでしょう。
あるいは、「それは永遠のテーマとして学者がやることです」と言うべきでしょう。
自然物の地質構造も同様です。
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