効果的なISOマネジメントシステムの構築とは?
(H19年1月4週号)

T氏:

ISO9001:2000やISO14001:2004取得企業の品質管理や環境管理のスキャンダルが増加しています。
不二家の問題では、経済通産省の次官がISO認証の意味に疑問を呈しています。
ISOマネジメントシステムの認証には企業は構築費用、審査費用など、多くの金を投じているのですから、本来、このようなマネジメントシステムが原因となる問題はあってはならないのですが――――。
そこで効果を出そうとして改善を考えているようです。
今月のあるISO関係の雑誌で、効果的なマネジメントシステムにするには、内部監査の強化を強調している記事がありました。
そういう趣旨の講習会の案内も来ました。

 

私:

従来から、ISOマネジメントシステムを定着するには内部監査の強化がポイントだという指導が多いようですが、これは2つの問題があります。
1つ目は、規格では内部監査にそのような役割を期待していないということです(このHPのISO9001項目別分類コーナーの8.2.2の「改善提案なき内部監査は不適合?:H15年12月4週号」参照)。
2つ目は、マネジメントシステムはそれぞれ定められた部門の日常活動がもとになるのであって、内部監査のような日常的でない活動ではカバーは不可能です。
マネジメントシステムに問題があるなら、骨格となる日常活動のシステムにムリがあるのか、部門長のマネジメントに問題があるかです。その問題を解決しないでライン責任や権限のない内部監査で問題を解決しようとしたら、会社の基本的なマネジメントシステムの根幹を無視したマネジメントシステムとなります。
市民の日常活動がルール通りでないからとして、警察官だけ増加するようなものです。北朝鮮方式とでもいえるでしょう(このHPのISO9001項目別分類コーナーの8.2.2の「内部監査の役割:H15年10月5週号」参照)。

 

T氏:

その雑誌では不渡り手形をつかまされた会社の例を上げ、与信管理もISO9001の仕組みのなかで行うべきとしていました。

 

私:
与信管理はその専門家の意見を聞いて、別にマネジメントシステムを作るべきで、
ISO9001とは無関係ですね。そういう考えはISO9001の問題もよく理解していないことを逆に示しています。
システムをよく理解している人は、そのシステムの限界もよく知っています。
こういうISOのマネジメントシステムの節度のない理解や指導が、企業側のスキャンダルの一因となっていると思います。

ISOのマネジメントシステムは、膨大な書類などでコストはかかるのは止むを得ない、しかし、薬にもならないが、毒にもならないだろうと考えている企業があります。
しかし、実は多くのスキャンダルのように、モラル低下という大きな毒にもなることに注意すべきでしょう。