T.M社の事情
M社は、20人くらいの企業でオフィスの仕事が中心である。
環境目的・目標を5項目設定して昨年3月にA審査機関で認証を得た。 本来、M社は「紙、ゴミ、電気」が環境目的・目標になるタイプの企業である。
それを無理して、下記のような5項目でスタートして認証を得たので、環境マネジメントシステムのPDCAが崩壊してしまった。 U.5項目の項目別問題点
1.チェックシートによる一般事業系廃棄物の分別管理
これは分別管理をきちんとやっているかをチェックシートで管理しようと言う目標である。
しかし、本来、一般事業系廃棄物をとりあげるなら、環境影響を配慮してその減少を目標としてとりあげるべきではないかと思われる。
目標数値を月次不適合件数5件としてきたが、環境影響への減少とは関係がない上に、達成も日常作業として簡単に行えるものなので、不適合発生はない。
この点、この実行項目には、環境マネジメントシステムのPDCAを回すテーマとしては適切でない。
2.鉄鋼廃材の分別廃棄
この作業には1名の作業者を新たに必要とする。1名を予定していたが、本業が多忙で半年経過しても実行不可能で、コスト的にあわない点が明らかになった。規格に環境目的、目標を設定するとき、技術上の選択肢、財務上、運用上及び事業上の要求事項を配慮することという要求があるが、最初の目的・目標設定時に、この配慮をしていなかった。
3.環境に優しい設計モデルの作成
コンサルタントが著しい環境側面、あるいは環境目標、目的には「有益な環境側面」をとりあげるべきということで実行項目とした。
しかし、当社の設計は顧客の要求の制約が強く、設計に自由度が極めて少ない。かつ、環境に関する設計の研究施設や要員を特別持っていない。
したがって、年間2アイテムという数値目標の達成は不可能であることが判明した。
その後、規格を正しく、公平に理解すると、「有益な環境側面」という用語定義はなく、かつ、「著しい環境側面」あるいは「環境目的、目標」に「有益な環境側面」を必ずとりあげるべきだというshall要求もないことも明らかになった。
したがって、この実行項目は当社の実態に沿ったものでないことを、この6ヶ月で実証したことになった。
4.リサイクル可能な材料の開発
これも3.の項目と同様である。当社はそのような研究所や要員を持っておらず、技術上の選択肢、財務上、運用上及び事業上の要求事項を配慮すると意味のない環境目的、目標である。事実、この6ヶ月の運用でそのようなアイテムはなく、PDCAサイクルはまわっていない。
5.環境に優しい材料の情報収集及び顧客提案
これも設計活動の「有益な環境側面」から、無理に環境目的、目標として設定したもので、目標値の年間2アイテムは無理であり、PDCAサイクルはまわっていないし、今後も期待できない。環境目的、目標を設定するとき、技術上の選択肢、財務上、運用上及び事業上の要求事項を配慮しておれば、最初からこの項目はなかったであろう。
V.総括
以上の結果、ISO14001:2004の序文の「環境マネジメントシステムの詳細さ及び複雑さの水準、文書類の範囲、並びにそれに向けられる資源は、システムの適用範囲、組織の規模、並びにその活動、製品及びサービスの性質のような多くの要因に依存する。これは特に中小企業についていえることかもしれない。」とあることを配慮し、かつ、規格の4.3.3の「環境目的、目標を設定するとき、技術上の選択肢、財務上、運用上及び事業上の要求事項を配慮すること」という要求を正しく理解し、PDCAがまわる環境目的、目標に新たに設定しなおすことが必要である。
W.見直しの結果
結局、6ヶ月経過して、電気の使用量の節減に環境目標を変更し、PDCAをきちんと回し始めた。
認証してから半年たって、PDCAが始めて回り出したという奇妙な状態で、最初の維持審査に備えることになった。
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