7.5.2の解釈トラブルの基本原因
(H19年4月2
週号)

Y氏:

当社の審査機関から「7.5.2製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認」の適用除外につい ては、JABによる認定審査の際に、相当に厳しい指摘を受けているとの理由で、全数検査をしていない場合であっても本項適用をすることがあるとの連絡がありました。したがって、2007年5月1日以後の審査(定期審査も含む)時にこの主旨に沿って、7.5.2の適用除外の適切性を現地審査し、7.5.2の適用除外が適切でない場合は、「不適合」として指摘することもあるということです。
そのため、審査機関から事前に下記のようなアンケートが来ました。

設問A:操業条件の決定関連
1. 操業条件が適切であることを事前に見極めて操業している。
2. 設備・機械の仕様は予め定められている。
3. 工程条件として、専用の設備、専用の作業者、原材料、時間、温度又は圧力等、あるいはこれらの組み合わせを事前に設定している。
4. 製造(サービス)に関与する人は、予め能力が適格であることが確認されている。すなわち、製造工程に従事する作業者が素人である場合は、製品品質に影響を及ぼす。
5. 製造(又はサービス)の方法・手順が文書の有無に関わらず明確にされている。


設問B:操業条件の維持管理関連
1. 製造(又はサービス)の工程が安定していることが管理され,その結果が記録されている。
2. 製造(又はサービス)の各種検査が抜き取りで実施されている。
3. 上述の設備、人、又は方法・手順等の変更があったときは、変更前と同様に製品 品質が安定していることを再度確認している。
上記の各設問A,Bのうち、いずれかに該当する場合は、品質マネジメントシステムに、「7.5.2を適用する」の機能が既に含まれているものと考える。


私のコメント:
ISO9001:2000の規格によると7.5.2は「製造及びサービス提供の過程で生じるアウトプットが、それ以降の監視又は測定で検証する不可能なプロセス」に適用されることになります。
この長たらしいプロセスの名称は俗に言う「特殊工程」(このHPのISO9001項目別分類コーナーの7.5「特殊工程の間違った運用:H18年4月1週号」参照)です。ということは「特殊でない工程」でないプロセスもあるということです。しかし、「特殊工程」の定義があいまいなため、個別企業でどのプロセスが「特殊工程」であるかどうか、企業側、審査側ともに迷う問題です。
このため、自動車部品セクター規格であるISO/TS16949は「7.5.2は製造及びサービスのすべてのプロセスに適用する」として迷わないようにshallを追加して明確にしています。
このアンケートは、その「特殊工程」の定義の混乱に関するものと思います。
問題は、設問にあるような内容はすでにISO9001:2000の他の項目で全プロセスについて義務づけられていることです。
設問Aの1.2.3.5は7.1製品実現計画で、Aの4は6.2人的資源で要求されています。
設問Bの1は7.5.1、8.2.3で、設問Bの2は8.2.4で、3は4.2.3で要求されています。

そうなると、7.5.2は「製造及びサービスのすべてのプロセスには、4.2.3、6.2、7.1、7.5.1、8.2.3、8.2.4で管理されているので、その妥当性の確認は各項目でそれぞれ行う」で終わりとなります。

ISO9001:2000の「特殊工程」がもめるのは「工程設計」があいまいだからでしょう。工程設計も7.3に含めれば、7.3.6に設計・開発の妥当性確認があるからです。
これもISO/TS16949では、7.3は製造工程の設計・開発を含むと明らかです。

なお、全数検査とか抜取検査とか一般的な言い方は適切ではありません。
○○という検査項目について全数検査、○○という検査項目については抜取検査」という言い方が正確です(このHPのISO9001項目別分類コーナーの7.5「事後の品質確認(検査)は遅い?:H15年12月1週号」参考)。