失敗しているISO9001:2000の典型的な症状・その1/3
(H19年4月4
週号)

ISO関係の月刊誌で、ある製造業のISO9001の実情のリポート記事があった。
連載物であるが、今月号では前回の内部監査で不適合指摘された項目のフォローを扱っている。この記事を書いたコンサルタントのフォローであるが、次のように徹底的な文書統制型のコンサル指導で、無意味なISO9001:2000コンサル指導となっている。

1. 生産計画部門
「前回の不適合」
  マニュアルでは生産計画部門で毎月の進捗管理をすることになっているのをしていなかった。
「生産計画課長の言い訳」
  プロセスは工程という意味だから、製造部門でやっている。当部門は関係ない。
「コンサルのコメント」
  8.2.3のプロセスは間接部門の業務もふくまれる。生産計画業務をちゃんとやっていることの確認も含まれる。
「生産計画課長の言い訳」
  生産計画業務はちゃんとやっている。チェックしていなかっただけだ。
「私のコメント」
  この話は嘘であろう。何故なら製造業で生産計画がされていないといことはありえないからだ。そして、生産計画を作るには前月の進捗を知らないと不可能だからだ。
第一、毎月の生産計画が作成されなかったら、製造部門が動けないのでクレームを出す。
営業も納期遅れの原因になるのでクレームを出す。ISOの内部監査でなく、あらゆる関連部門の監視が働いている業務だ。だから、内部監査でひっかかるはずがない。
課長が業務の確認チェックリストを書くということになっていて、それが書いてないということか。もし、そうだとすると、毎月の生産計画を作成しているかを8.2.3の間違った解釈のために、課長がチェックリストで自部門の業務を確認しているというのはナンセンスなISO9001:2000である。


2.営業部門
「前回の不適合」
  7.2 顧客関連のプロセスがマニュアル通りでなかった。
「生産計画課長の言い訳」
  営業はノルマ達成でISOどころではない。ISOをやるヒマがあったら、一件でも注文をとらなくてはいけない。
「コンサルのコメント」
  ISOと仕事は一体だから、顧客の要求の確認は重要ではないか。過去に顧客要求の確認が不十分のため、問題を起こしたことはないのか?
「営業課長の答え」
  そういうことは時々ある。この前、担当がよく顧客の要求を聞かないで注文をとってきたので納期遅れを起こした例がある。
「コンサルタントと営業課長の話し合い」
  7.2については、営業日誌を書き、工場と相談し、課長の承認をもらってから顧客に返事するということにした。
「私のコメント」
  システムを変えたようだが、前回の内部監査ではどういう確認をせずに不適合になったのかが不明である。営業日誌であろうと、営業マンが何か個人手帳を持っているのはISO以前の常識である。
営業課長が例に出した納期遅れの例は、顧客は注文書を発行したのか、それとも注文書を出さない口頭受注のため、その営業担当は自分の手帳にメモしたのか、そのメモをしたとき、面前の顧客に確認したのか。メモなしで記憶だけで動いたとは考えられない。
レストランのウエイトレスでさえも、伝票を復誦し顧客にきちんと確認しているレベルの問題である。

こんなレベルに対して、営業担当が工場と相談し、課長の承認を得るとなると、機動性がなくなるので営業担当は嫌がるのでまた不適合となろう。
針小棒大の問題解決の典型である。


3.加工係1
「前回の不適合」
  作業者が作業手順書を守っていない。すでに二度の内部監査で繰り返し発生している。
「現場係長の疑問」
  作業者はISOの手順書の言葉が難しく、読む気もしないし、頭痛がするといっている。
「コンサルのコメント」
  イラストやデジカメ写真で手順書を作ったらどうか。読む人が読みやすい工夫をすべきだ。
「私のコメント」
  作業者はイラストやデジカメの写真の手順書も見ないだろう。何故なら、内部監査を2回もやっているのに、その間、現場は毎日のようにその手順書なしできちんと仕事をしているからである。


4.加工係2
「前回の不適合」
  マイクロメーターの毎日の点検記録をとっていなかった。
「コンサルタントのチェック結果」
  フォローしたら点検記録はとっていたが、休日の欄までチェックマークがあり、作業者を追及したら、毎日でなく、1週間まとめて記録を作っていたことが判明。
コンサルタントはきちんと記録するようにコメント。
「私のコメント」
  失敗したISO9001:2000の典型的な症状の一つ。作業者は記録作成の必要を感じていない。
押し付けるとモラル低下となり、それが定着するだろう。最悪である。