失敗しているISO9001:2000の典型的な症状・その3/3
(H19年5月2
週号)

10.組立係
「前回の不適合」
  トレーサビリティのための記録がなかった。
「係長の言い訳」
  記録項目が多いので手間がかかるのでつけていない。本当に必要なのか疑問である。
「コンサルタントの実際のチェック」
  トレーサビリティ記録として、項目の多いシートと少ないシートの2種類のシートを発見した。多いシートはISOになってから作ったもので、少ないシートは以前に使っていたものであった。現場は少ないほうを使っていた。
「コンサルタントのコメント」
  クレーム追跡のために品質保証課と相談して一緒に項目を決めるべきである。
「私のコメント」
  古いトレーサビリティシートを何故、使わないのであろうか。各組立部品のロット番号、作業者、機械、組立日時などあらゆる項目をトレースできる記録は可能であるが、コスト対効果の検討が必要である。
品質保証課はコスト無視発想をするので、現場と話が合わないであろう。


11.総務部門
「前回の不適合」
  手順書で決められている年間教育計画が作成されていなかった。
「課長の言い訳」
  以前外部の専門家が作った規定があって、それが鍵のついた戸棚にしまってある。ISOをとるので、文書を生かそうということで登録したと思う。見たこともない。前任者も内容が高度で実行したことがないらしい。
「コンサルのコメント」
  現実にあった手順書を作るべきだ。また、教育科目もきめて計画すべきである。
「私のコメント」
  鍵のついた書棚にある規定はムダな書類である。ここで問題になっているのは外部教育であろうが、おかしいのは、この会社は予算に研修費科目がないのであろうか。
また、研修機関のチラシなど、たくさん来ているであろう。それを回覧して募集することもできる。あるいは、会社の部門からの要請もあろう。

研修費として承認するときは、商売好きな研修機関の宣伝に惑わされず、抽象的な教育漬けに気をつけるべきであろう。


12.営業部門1
「前回の不適合」
  顧客からの注文書に課長の顧客要求の確認印が押してないものがあった。
「コンサルタントのチェック」
  注文書には課長の確認印が押されているが、先月の注文書の確認印の日付は全部同じ日であった。
「課長の言い訳」
  実は印を押すのが面倒なので、事務の女性に印を預けて押してもらっている。その女性が日付印を変えないで、押してしまったようだ。
「コンサルのコメント」
  規格の趣旨からして、注文が来たときに課長が押すべきである。
「私のコメント」
  誰が本当に確認しているのか不明。また、新規受注と繰り返し受注によっても確認者が異なるであろう。別に全部、営業課長が捺印する必要はない。
システム設計がデタラメである。


13.営業部門2
「前回の不適合」
  口頭受注の場合の社内の受付書がなかった。
「コンサルタントのチェック」
  現在、すべて受付書を書いているというので、コンサルタントは先月の納品書をみせてもらい、小額のものを選び出し、その受付書を要求した。しかし、ほとんど出てこなかった。
「課長の言い訳」
  多忙なので忘れることもある。
「コンサルタントのコメント」
  確認は最低限のことなので、きちんとすべきである。
「私のコメント」
  顧客から口頭で注文が来て、社内に口頭で手配し、社内も口頭で動き、口頭で出荷されるのであろうか。
納品書は誰が何を見て書くのであろうか。

これもシステム設計がデタラメである。
マネジメントシステム設計のアウトプットが品質マニュアルだから、マニュアルは設計の審査、検証、妥当性確認もなしで発行されたことになる。