ある予備審査風景
(H19年5月4
週号)

あるISO誌の最近号に中小企業の製造業のISO9001:2000の予備審査の状況が書かれていたので、そこからピックアップしてコメントしておく。

1.マネジメントレビュー
審査員の指摘
  マネジメントレビューの議事録にある見直し事項を誰が、いつまで行うかの指示の記録がない。
会社側の対応
  実際には指示しているが、事務局が議事録に書き忘れた。追記する。
私のコメント
  この会社のマネジメントレビュー記録は社長が「皆、集まって意見を言ってくれ。事務局が記録して俺が判を押す」会議議事録タイプのものらしい。
私は中小企業ではマネジメントレビュー会議はしない。だから、マネジメントレビュー記録は議事録でなく、一枚の「マネジメントレビュー記録書」しかない(このHPのISO9001項目別分類コーナーの「マネジメントレビューの運用:H18年6月3週号」参照)。
この会社の場合、システムはスタートしてばかりなのに予備審査段階で見直し項目があるとは驚きである。無理な作文を感ずる。
マネジメントレビューが年1回の会社なら予備審査は、まだ、システムスタート後、1、2ヶ月だから仮のものとなる。したがって、5.6.3のa)の「品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善」は「スタートしたシステムの定着促進」で終わりである。


2.品質方針と品質目標
審査員の指摘
  4.2.1a)に品質方針と品質目標も文書化せよという要求がある。したがって、4.2.3の文書管理の対象に含まれる。ところがこれらの管理台帳がない。
会社側の対応
  必要であることは知っていたが、忘れていたので作成する。
私のコメント
  この会社の文書管理は各文書に履歴管理のための管理台帳を作っているシステムのようである。中小企業ではムダな台帳である。
なお、品質方針の文書した表明は品質マニュアルで行われる。品質目標は年度目標となるケースが多いので、「品質目標計画書」という別帳票とするのが一般である。この改訂識別には備考欄を用いている。


3.教育・訓練
審査員の指摘
  社長や幹部、ベテランの教育・訓練体系がない。
会社側の対応
  教育・訓練体系に含める。
私のコメント
  ここでいう教育・訓練対象は現場の作業、検査など、製品品質に影響を与える仕事に従事する要員である。そして仕事に必要な「力量」を明確にするのが教育・訓練体系である。
管理者にはISO9001:2000の教育は必要であろうが、作業のベテランにする訓練体系はありえない。
一体、社長の「力量」をどのように明確化するのか。現実を離れた「神学論争」になりそうである。


4.プロセスの監視及び測定
審査員の指摘
  QC工程表に定めてあるプロセスの監視及び測定はしているが、その他のプロセスの監視及び測定をしていない。
会社側の対応
  間接部門のほうのプロセスの監視及び測定が明確でないので改善する。
私のコメント
  よくある指摘である(このHPのISO9001項目別分類コーナーの「改善のプロセスの監視:H16年6月1週号」参照)。ISO9001:2000の考えではマネジメントシステム製品実現システムとを区別している。QC工程表が扱っているプロセスは製品実現プロセスである。その他のプロセスはマネジメントシステム・プロセスだけである。これは8.2.2内部監査で監視及び測定をする。
神学論争になる例では「ある監視及び測定をすると、その監視及び測定のプロセスが発生する。だから、そのプロセスの監視及び測定がまた、必要になる」というものである。監視及び測定プロセスが無限に積み重なる。滑稽である。