K氏の質問
ISO9001:2000の4.1の「アウトソースしたプロセスの管理」について質問します。
8月末、サーベイランスがあるのですが、多分「御社にはアウトソースするプロセスは、ありますか?あるとすれば、どんな管理をしていますか?」という質問が予想されます。このHP(ISO9001項目別コーナーの7.4の「アウトソーシングと購買の関係・その1:H14年5月1週号」、「アウトソーシングと購買の関係・その2:H14年5月2週号」参照)の「アウトソースしたプロセスは、7.4で管理する」という意味は理解出来ました。
それならば、アウトソースしたプロセスについて、「7.5で管理する」とか、「7.3で管理する」という事があり得るのか、又はあり得ないのか、ご教示下さい。
私のコメント
「7.5で管理する」とか、「7.3で管理する」というのは適切でないでしょうね。これらの条項は本来、内部の管理を目的としているので、一国一城の外部企業に押し付けるのは7.4.2のc)の「品質マネジメントシステムの要求事項」という別な問題となります(このHPの新着ニュースコーナーの「特殊工程問題まだ続く:H19年6月2週号」参照)。いずれにせよ、7.4の購買となります。
7.4の要求と合わせるため、7.4.1で評価して外注別に現場監督を行うとか、設計の成果を受入検査で行うというような管理方式を設定することになります。
K氏の質問
確かに「購買」ですから、7.4の要求事項は適用になりますね。
そうすると、当社のマニュアルは、現行では「アウトソースした業務の管理について、このマニュアルの7.4の中で明確にする」としていますが、このままではうまくないという事になるでしょうか?
私のコメント
マニュアルでは7.4でアウトソースした企業の選択評価基準、発注方法など、8つのshallにきちんとふれていないと論理性を欠きますね。
K氏の質問
実は、4.1のJISの独自に追加した参考2の「プロセス及びその管理を外部委託すること」で「及びその管理」という所が、アウトソースに関する混乱の元凶のような気がします。
「この文面から見たら、アウトソースは“丸投げ”と訳すのが良いんじゃない?」という冗談も当社で飛び出しました。
私のコメント
JIS独自の参考に問題が多いのは、ご承知の通りです(このHPのISO9001項目別分類の5.の「JISの参考追加への読者コメント:H13年10月4週号」、新着ニュースコーナーの「ISO9001:2000の8.5.2のf)の解釈:H19年6月1週号」参照)。
この4.1の参考2の「プロセス及び管理を外部委託することである」はよく読むと、本文ではアウトソースしたプロセスは「放任せず」発注側がきちんと管理せよ、と言っているのに、その管理まで手放すのは矛盾ですね。「管理」は削除すべきです。
管理まで含めて「丸投げする」こともアウトソースすることだということは、文脈に一貫性がないという論理性欠如の問題となります。
K氏の質問
アウトソースが有るのか無いのかという議論は、「工数購買」をやっている会社なら、必ず「ある」わけですが、「プロセスを管理する」の文言にこだわって、「プロセスの結果である製品の管理で充分品質が確保される」という話が審査員に通じない事例が多々あるようです。
私のコメント
外部委託したプロセスの管理は、組織側の責任ですから、外部委託した企業からの製品の受入検査による管理も1つの管理の選択肢です。
その他、企業評価による選択、そして個々の注文については検査成績表の添付提出、外部委託プロセスの進行中の監視、定期監査、技術指導などの選択肢もあるでしょう。
K氏の質問
当社のマニュアルは、前の版までは、このJISの注釈を逆手にとって、「アウトソースは無い」と言っていました。言い換えれば「当社は丸投げはしない」という意味です。
それで審査員も納得した、というより、「アウトソースがある、と言われると、外注さんに御社のマネジメントシステムから何から全部教育する必要があり、記録やら何やら大変なんだ。購買と言い切ってくれるなら、それで良い。助かった。」とのこと。
この審査員は、翌年は、「昨年言ったことは、やっぱり間違っていた」と、立ち話で私に打ち明けましたが、「アウトソースを7.4で管理」の次元までは、納得いかないようでした。
審査機関自体、アウトソースの問題は、深く追求せず、組織が「無い」と言えばそれまで、という対応です。
実態は、「7.4で管理」もありますが、圧倒的に「7.4+7.5」とか「7.4+7.3」、つまり、7.4の要求事項を適用しつつ、計画と設計管理、工程管理は当社が行う事例が多いのも事実です。
今回改訂で、「アウトソースは7.4で管理」と明記しましたので、サーベイランスでどういう騒ぎになるやら………
私のコメント
この審査員は、先にあげた7.4.2のc)の枠内で行う7.3と7.5と社内のマネジメントシステムである7.3と7.5を混同しているようですね。ここには「必要な場合には」とあります。規格の強制要求ではありません。発注元の企業が管理方式としてきめる1つの選択肢に過ぎません。
ちなみに自動車部品メーカーに対するISO/TS16949では、「必要な場合には」では満足しないで、最低ISO9001:2000への適合を7.4で追加して求めています。
これは裏返しすると、ISO9001:2000の7.4ではそこまで強制していないことになります。
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