| 従業員20名程度の中小企業であるA社はISO9001:2000の2回目の維持審査に入る。
この会社は、あるコンサル団体の指導でISO9001:2000を取得したが、半年余を経てから文書過剰で継続が困難となり、管理責任者が当社にシステム見直しを依頼してきた。
A社の主要業務は店舗工事の仕事である。すでに建屋構造が決っているある一部にカウンターやデスクなどを作り、配置するもので、工事は外注業者が行っている。
したがって、A社の基本的な組織は営業部と配置図を描く設計部に分かれている。
以前のコンサルタントの指導で設計のISO9001:2000業務にはISO9001:2000の7.3に基づき、7.3.1 設計計画に対応して「設計計画書」、7.3.2 設計インプットに対応して「設計インプットチェックリスト」、7.3.3 設計アウトプットは配置図面、7.3.4 設計審査に対応して「設計審査表」、7.3.5 設計検証に対応して「設計検証チェックリスト」、7.3.6 設計の妥当性確認には「設計妥当性確認書」、7.3.7 設計変更に「設計変更連絡書」が適用されていた。
これらの文書は書き切れなくて、設計が終了してから形式的に書いたり、工事終了後とか月ごとにまとめて書いたりしていた。
当社は、とりあえず、緊急処置として「設計計画書」と「設計インプットチェックリスト」は営業の「受注書」に吸収し、他は全部「設計図面」に吸収した。
これにより、設計のISO9001:2000業務は激減し、これで初回の維持審査をパスした。
しかし、その後、かならずしも設計部門でのISO9001:2000の定着は十分でないように感じた。
その理由は、基本的にA社には7.3が要求する製品設計があるのかという問題であった。
店舗の建屋構造は決っている。カウンターやデスクの配置などは顧客が要求する。壁のクロスなども顧客の選択決定である。
A社の設計が基本的に行っているのは、これらの顧客のメモ、口頭などの要求を工事のしやすい図面に清書することだと考えられる。
そうなると、もともと、A社には試行錯誤の設計行為がないと思われる(このHPのISO9001項目別分類の7.3の「頭を使わない設計事務所?
:H15年12月2週号」参照)。
すなわち、7.3の適用除外である。
しかし、問題は設計部というA社の組織名からくる設計者のプライドである。
一旦、間違ったシステム発想でスタートすると枝葉の修正は比較的容易だが、基本的な修正が難しいようである。
今、A社の管理責任者に残された大きな問題は、設計という業務を正確に理解し、7.3の適用除外をすることになった。 |