続いている審査の場での適用除外問題
(H19年8月3
週号)

「D氏」
当社は20名程度の中小企業で顧客の図面に基づき電子用部品を作っています。廃棄物はほとんどなく、一般の家庭ごみ程度です。
今回、得意先の一般的な要求もあり、ISO9001:2000の取得をすることになりました。
第1段階の審査で不適合はありませんでしたが、観察事項として、次の点が指摘されました。
7.2.1c)、7.4.3の一部、及び7.6の一部の除外は検討の余地がある。
ここで、「7.4.3の一部」とは、当社又は顧客が供給先で検証することで、「7.6の一部の除外とは、国際又は国家標準のない場合」です。
当社では、除外のレベルを統一するため、shallレベルで当社の業態上、従来も今後も発生する可能性がない業務は除外として明記するとマニュアルにあります。もちろん、顧客が除外した項目を要求するときは別途定めるとしています。
これに対して、審査員は「あまり細かい点まで除外にすると、自分で自分の首を絞めることになる。7.3の設計の除外程度でよい。7.4.3では規格では『組織又はその顧客が、供給者先で検証を実施することにした場合には』と『場合には』とあるので除外しないでよいのではないか」と言っていました。
私は、「その論理では、7.3の設計も『将来ある場合には』と言えるので除外できないことになる」と言いましたら、首をひねっていました。
この問題で1時間ほど、抽象的な議論になりました。

「私のコメント」
こんな問題で1時間も議論するとはあまり意味がありませんね。
どこまで除外にするかは、企業の業態上、あり得ない業務は除外を明記したほうが、企業の特性も理解しやすく、本来、審査もやりよいはずです。
ただ、人によって、除外のレベルが変わるのはよくないので、貴社のようにshallレベルで統一したのは明快だと思います。
したがって、審査員は、貴社のその除外が業態上、ありえないかどうかを具体的に聞いて判断すればよいのであって、抽象的な一般論をするのは、審査の本質から離れることになります。
一般論については、権威がある文献として、ISOで発行した「中小企業のためのISO9001」及びJABホームページのワークショップの解説があります(このHPのISO9001項目別分類コーナーの4.1の「7.の除外の表現方法:H16年6月4週号」参照)。
過去に実態がなく、かつ、今後も業態上、考えられない業務について、マニュアルに書くとなると、空想で書くようになり、マニュアルは実態から離れ無意味な文書となります。
例えば、部品メーカーでは、顧客図面により製造する場合、7.2.1c)はありえません。ある部品メーカーではこの7.2.1c)の要求に対応してマニュアルに「インターネットで該当する法令・規制要求事項を索引する」と書いてあったので、「どういう法令・規制が検索されましたか」と聞いたら「1回やりましたが、ゼロです。その後、やっていません」とのことでした。
業態からして、それは顧客の設計部門が行っているわけで、部品メーカーがそれをやるとすると「ゼロを証明する」多くの法令・規制の専門家を持たなければならず、全く、意味のない空論となり、マニュアルは死んだ文章となります。