7.2.1c)と「公差」
(H19年9月1
週号)

「B氏」
当社は機械部品の加工をやっている50人くらいの中小企業です。
顧客が一品料理的な工作機械を作っており、当社はその部品で機械加工で作るものを作っています。したがって、当社に来る顧客の注文も一品料理的です。
顧客はISO9001:2000を取得しており、当然、7.3の製品設計はありますが、当社はその設計のアウトプットである部品図面により注文を受けて加工します。当然、当社は製品設計はなく除外となっています。
その他、除外はshallレベルで明記していますので、7.2.1c)、7.5.2の特殊工程、7.5.3のトレーサビリティも除外です。
これに対して、審査員は不適合ではありませんでしたが、7.2.1c)について「公差」の問題を言っていました。
また、トレーサビリティについては当社では出荷検査記録をとっているので、審査員はトレーサビリティの記録があるので除外の必要性がないのではと言っていました。
審査員は、どうも建築会社の経験があるようで、当社のような機械加工の経験はないようでした。

「私のコメント」
部品図面の公差というのは、相手部品とのはめあいなどにより、設計者が決めます。顧客がISO9001:2000を取得しているなら、7.3.3 c)の「設計のアウトプットが製品の合否判定基準を含むか又は参照していること」の要求から公差を明確にします。
そして、同じ7.3.3 b)の「購買、製造及びサービス提供に対して適切な情報を提供する」という要求に応じて、貴社に注文とともに発行されることになります。

貴社は、これを受けて7.2.1 a)の「顧客が規定した要求事項」を確認することになります。貴社に「公差」を決定する権限はありませんし、製品全体の構成が分からないので不可能です。
建設業界には公共工事では「工事管理基準」という公差基準があるので、建設業界出身の審査員はこれと混同しているようです。これも貴社にとっては、7.2.1c)の「製品の関連する法令・規制要求事項」でなく、7.2.1 a)の「顧客が規定した要求事項」に関することです。

トレーサビリティは「製品について固有の識別」に関するもので、貴社の場合、一品料理ですからトレースは可能ですが、量産性がないため、ロット管理の必要がないので、当然、顧客から「固有の識別」要求がないのは当然と思います。
トレーサビリティは「トレースできること」ことではなく、製品に個別に刻印や表示をして「トレースが容易にできること」を意味します。その違いを審査員が理解していないようです。
例として自動車の車体番号、エンジン番号などはトレーサビリティのための製品固有の識別となっています。
工作機械などは、機械に表示されているプレートで識別されています。
最近、食肉ではそれに含まれているDNAが製品固有の識別になり、生産者が保管されているDNAとの照合によりトレースできます。