2000年改訂と品質管理8原則(H12年10月4週号)
1.2000年改訂の基本的な動機
 2000年改訂では、おなじみの20項目が大きく変わった。それは、単に、実務レベルの構成の変更だけでなく、改訂にあたってPDCAサイクルとか、品質管理の8原則など、基本的な考えが表面に出てきた。これと実務のつながりが明確でないことが、改訂版を分かりにくくしている。イギリスのBS5750の歴史を見ると、1970年代の経済の停滞、国営企業の民営化という経済状態に加え、「日本の奇蹟」による品質攻勢に対抗する手段が必要という国家的な判断があり、これで急速に拡大したことが分かる。日本の民間先導型と異なる。
 しかし、イギリスの20年になろうとするその普及結果は、必ずしも、かんばしくない。イギリスが、品質で日本レベルになり、日本を抜いたという「イギリスの奇蹟」にはなっていない。むしろ、2000年では、自動車では、ローバーを失う結果となっている。イギリスの「Quality World」1995年11月号でも、改訂の理由の1つとして、「この品質保証規格に対する多くの苦情は、規格を守ることが、そのまま、製品の保証にならないことである。」としている。効果のないあせりであろうか。
 トヨタ生産方式は、品質向上に効果的であると実証されてから、世界的に広まったのに対し、ISO9001は、取引条件からスタートしているので、この問題は、今後、継続するであろう。日本でもISO9000、ISO14000を取得し、HACCPを認証しても、品質保証や、環境保証、衛生管理で問題を起こしている例があるのと似ている。
2.品質向上の発想と従来の適合性発想の混在
 この「規格を守ることが、そのまま、製品の保証にならない」という苦情に対応するため、イギリスから、職能的な規格内容でなく、プロセス・アプローチで改訂すべきという考えや、改善を追加すべきであることなどが提言された。
 今回、品質管理の8原則が正式にISO9000:2000に登場するが、多くは、品質向上に効果があると世界的に証明されたトヨタ生産方式に代表される日本的経営方式に近い。しかし、改訂版には、実務的には、従来の要求が残っており、基本的な発想の転換と必ずしも一致していない。たとえば、外注業者との共同的な関係を持つべきであるという原則は、一時、欧米から非難された日本の「系列」システムに近い。
 しかし、一方で、改訂版のISO9001での購買における供給業者の評価・選定は、従来通り「契約型」である。むしろ、94年版に明記されていない再評価が明確に要求されている。その意味で、BS5750時代からの管理発想と、プロセス・アプローチや、システム・アプローチなど、トヨタ生産方式的な管理発想との混在があり、審査員の能力と、企業側の学習レベルとで問題になるおそれがある。企業側としては、十分な理論学習が必要であろう。