コンサルタントの選択ミスによる致命傷
(H19年10月1
週号)

50人くらいの従業員がいる板金加工のN社とは、私はISO9001の94年版取得以来、約10年ほどのつき合いである。今度、ISO14001:2004と統合したシステムのために、また訪問するようになった。
先週、伺ったら、社長の知り合いの従業員20人くらいのインテリアのA社の社長が、10月に最初の維持審査があるので心配で相談に来た。
A会社は昨年10月にISO9001:2000を認証したが、これは顧客の強制でなく、会社のマネジメントシステムをきちんとしたいという社長の意図が動機であった。

昼食をともにした。そのときA社の社長はISO9001:2000の書類を持参してきた。分厚いバインダーを持参してきた。私は、その分厚いバインダーの中の書類をパラパラめくって、一目見て、中小企業で失敗している典型的な症状を呈していることがすぐに推測できた。
20人くらいのサービス業なのに、30近い管理規定があり、その内容は良く理解できないほど複雑な文章の羅列であった。
これでは、従業員は誰も見ていないことは明らかであった。
書類作成と管理担当は総務の女性が中心であるとのことだが、総務の仕事が十分にできないほど、ISO9001:2000の書類の仕事が増え、問題を起こしているという。

すでに、従業員からはISO9001:2000に対する反発が出ているという。

聞いたらコンサルタントの指導を受けたという。そのコンサルタントは「シンプルなシステムにするように指導します」と言っていたので、信じていたという。
私は、コンサルタントは皆そういうが、具体的な方法論がないと危険であると言った。
中小企業の場合、「管理規定ゼロ、文書番号ゼロ、配付台帳ゼロ」などの具体的な方策がないコンサルタントは危険であると言った。
私は「失敗したISO9001:2000は薬にもならないが、毒にもならない」というのは間違いで、導入に失敗すると「薬にならないどころか、従業員のモラル低下の猛毒になる」と警告した。
私は、これはコンサルタントに責任があると明言した。

昼食後、A社の社長は帰ったが、N社の社長は10年前を思い出し、結局、私同様にA社の問題はコンサルタントの選択ミスが根本原因だと言った。
N社の社長が私を10年前に選択したのは、いくつかのISO9000を取得した同業者を見て、一番、簡素な会社を気に入り、その会社を指導した私を選択したという。慎重な選択であった。だから、A社の社長の軽率なコンサルタントの選択を問題視していた。
とりあえず、A社は10月の維持審査に対応しなくてはならないが、内部監査もきちんとしていないような状態で、コンサルの指導をまだ受けないと対応できないと言っていた。

A社の社長が私を選択できるかの決断能力が、A社のISO9001:2000の運命を決めるだろう、「猫に小判」はありえるとN社の社長は冷ややかなようであった。

私も決めるのは経営者の器量だから、売り込むつもりはなかった。