設計インプットの理解不足
(H19年12月3
週号)

「M氏の質問」
当社は20人くらいの工事会社です。工事図面は当社設計が書き、工事は簡単で外注の業者が行います。ISO9001:2000の2回目の維持審査で、審査員から「7.3.2 設計インプット」に観察事項として下記のような指摘がありました。当社は別にシステムを変える必要性を認めていませんが、次回の維持審査では当然、議論の対象になると思いますので、反論を考えておきたいと思います。どのように対応したらよいでしょうか。

「審査員の指摘」
「設計のインプットは、最初、営業からの設計依頼書で伝えられるが、設計インプットが何回も作り直されていく過程でのインプット項目が具体的に記録されておらず、アウトプットがインプット項目に対して適切どうかを確認することがむずかしいと考えられる(7.3.2)」

「私のコメント」
一言でいうと、7.3.2 設計インプット」と設計プロセス中のインプットとの基礎的な混同です。これは設計活動の基礎的な知識を理解していない人がよく陥る間違いです。
それは審査員の不勉強であり、同時にそれを指摘できなかった貴社の設計者の不勉強です。
ISO9001の設計についての要求は、初版の87年版の頃から、「設計インプット」の項目があり、また、「設計検証」「設計アウトプット」がこの「設計インプット」の要求事項を満たしていることが要求されていました。
ですから、この「設計インプット」の不勉強による誤解は当初から審査上で発生していました。その後、このようが混同の間違いは減ったようですが、まだ、こういう審査員がいるのですね。
設計インプット」により「設計活動」が開始されると、それにそって「設計プロセス」が開始されます。そのプロセスは多くの細かいプロセスの連鎖です。その各プロセスはインプットがあり、そのアウトプットは次のプロセスのインプットになります。
こうして、最終的に図面のような「設計アウトプット」になります。
この「設計プロセス中のインプット」と「7.3.2 設計インプット」はレベルが違います。同様に「設計プロセス中のアウトプット」と「7.3.3 設計アウトプット」とはレベルが違います。
設計管理の基礎的なテキストでは設計段階を「使命」「定義」「概略設計」「詳細設計」と大きく4段階に分けています。この「使命」が「7.3.2 設計のインプット」として設計者に与えられます。定義」段階から「使命」にそった設計が開始され、その「定義」のアウトプットが「概略設計」のインプット、「概略設計のアウトプット」が「詳細設計」のインプットになり、設計プロセスが進められ、「詳細設計」のアウトプットが「7.3.3 設計のアウトプット」になります。
ですから、貴社の場合、営業が要求した「設計依頼書」の内容が設計の「使命」なら、このインプットを設計者が何回も作り直したら、それは「使命」順守違反となります。
乗用車ですと重役会で決る「若者向けのデザインで所得が○○万円レベルをねらった車」位の内容が「使命」であり、「7.3.2 設計のインプット」です。そして新車だと3年から4年の「設計プロセス」が開始されます。そして最後の「7.3.3 設計アウトプット」の図面が最初の「使命」を満足しているかを確認するのが「7.3.5 設計検証」になります。