付加価値審査の横行・その2
(H20年1月4
週号)

「T氏の連絡」
私は、ISO事務局でISO9001を職務にしております。新年早々に、他社の知人であるISO推進室の人から、「一人の審査員を紹介するから会ってみないか」と進められ、近々にお会いすることになっています。早速にインターネットでそのJ審査機関のホームページを開いたところ、「社長の新年のご挨拶」があり、その冒頭に「付加価値の審査を提供する新しい発想の認証」を旗印に・・・とあり、「付加価値」という言葉が何度も出ていました。御社の「新着ニュース」の「付加価値審査の横行」(新着ニュース:H20年1月2週号参照)の記事では、「付加価値審査」は違法的な行為であるといっており、私もそのように理解しております。
しかしながら、この審査機関が堂々と「付加価値審査」を方針に出していることに驚き、又その審査員の方に会った時にどう対応しようかと困惑しております。
一度、そのJ審査機関のホームページで、「新年のご挨拶」を確認していただき、ご意見をお願い致します。

「私のコメント」
J審査機関の「新年の挨拶」を読みましたが、典型的な「付加価値審査」のスローガンですね。審査機関の名前まで「付加価値審査」です。問題は、企業に付加価値をつけるには、現状を「改善・改革」しなくてはなりませんが、審査員が企業以上にそのような能力があるかです。
次に企業の「改善・改革」となると、現状調査したり、改善を試行錯誤したりして、かなりの時間がとられます。現在の審査時間より桁違いの時間がかかります。審査機関として審査費用をペイできるのかということです。付加価値審査となると、審査費用が100万円なら、500万円くらいの企業側の効果を出さないと商売にならないでしょう。結果的には書類を増加してレベルがあがったとごまかし、実際は企業側のコスト増加となるのが落ちでしょう。介護保険や派遣のグッドウイルの二の舞いになるでしょう。
昨年は「偽」の年でしたが、今年はISOの審査機関の「偽」の年になるでしょう。

「K氏の連絡」
1月11日(金)の日経によれば、「ISO認証 審査厳格に」というタイトルで、概略、次のような記事が出ています。
「ISOの審査を統括する国際認定機関フォーラム(IAF)が認証の信頼度を高めるため、審査方法を見直す。内部監査のマニュアルの有無など形式的な基準が中心の審査を改め、顧客満足度などの実効性を重視する方法を導入する。日本の経済界も食品偽装などの不祥事を受け、制度改革を後押しする。(中略)
ただ近年は各国の産業界で『優良企業の目安にならない』と認証に対する批判が高まっている。IAFでも米IBMや米国化学工業協会が「審査方法に改善の余地がある」と指摘している。(中略)
現在の審査は企業の組織や体制、ルールなど製品やサービスをつくる仕組みがあるかどうかを確認する作業が主となっている。改革案ではその仕組みが、取引先や消費者の満足度の向上に効果を発揮しているかどうかまで確認する「付加価値審査」の導入を検討する。
ISO 9001の人材育成の項目では、研修や評価制度などの有無だけでなく、社員の能力向上に成果が出ているかどうかまで審査する。(以下略)」

マネジメントの審査で、こんなことまでやって良いのか?顧客満足の向上に繋がっている、繋がっていないまで、いかなる監査証拠で判断するのか?偽装問題は、審査で防げる次元の問題でしょうか?おかしな事にならなければ良いのですが………。

「私のコメント」
コアシステムとマネジメントシステムの基本的な違いの無知がここまで来ましたね。予想された道筋を辿っています。日本陸軍が太平洋戦争に突入する前夜のようですね。
飯塚氏は反対するでしょうから、ISO内部でも、もめるのではないでしょうかね。