「N氏の質問」
当社は従業員15名程度の熱処理を業務とする会社です。会社は、ISO9001:2000を取得してから4年目になっております。私は管理責任者です。
お恥ずかしい質問ですが、ISO9001:2000版の要求事項の7.3項設計・開発についてです。当社の熱処理は高周波焼入焼戻という特殊なものです。
そこで質問ですが、当社の業務には7.3項設計・開発が適用されるでしょうか?
実は、認証取得から更新審査まで7.3項に関しては適用除外としてきました。
しかし、今年になって、更新審査の時、審査員から適用除外ではないのではという指摘を受けましたので質問する次第です。
当社が7.3を適用除外にした理由は「当社では熱処理加工を専業として、顧客より熱処理加工を委託された製品の仕様が既に明確に規定されたものであり、その達成のための熱処理条件設定のみを行っている」というもので最初から認証を得ています。
しかし、今回、審査員から「『その達成のための熱処理条件設定のみを行っている』とは、熱処理の設計・開発に抵触する記載内容であり、『正当とする理由』とは言えない記載内容である」と指摘を受けました。
幼稚な質問からもしれませんがご意見をお願いします。
「私のコメント」
結論的に言うとナンセンスです。審査員は審査の力量が全くありません。この指摘が通れば審査機関も問題です。私の長いISO関連の仕事ではじめて聞いた最低のトラブルです。
設計は「製品設計(何を作るか)」と「工程設計(どのように作るか)・製品実現のプロセス設計」の2つに分かれますが、ISO9001:2000の7.3は「製品設計」に限定されます。
「工程設計」は7.1に吸収され、7.1の参考2.にあるように「工程設計・製品実現のプロセス設計」に7.3を適用するのは企業の自由となりました(このHPのISO9001項目別分類コーナーの7.3の「工程設計の扱いの変遷:H17年4月3週号」参照)。
したがって、貴社の場合、「製品の硬度」の設計がすでに「製品設計」で行われているので、貴社はそれを変更する権限はありません。顧客要求にそってその要求硬度を実現するだけです。貴社の熱処理の条件設定は、顧客要求の硬度を達成するために製品実現のプロセスをどのようにするか、すなわち、「工程設計(どのように作るか)」をする行為となります。
表面処理にメッキもありますが、これも顧客要求のメッキ厚を達成するために、メッキ溶液濃度、電流値、メッキ時間などというメッキ条件設定を行っています。しかし、この条件設定は貴社と同じ「工程設計」であって、「製品設計」の領域の問題ではありません。
この審査員の指摘が通れば、7.3の適用除外でISO9001:2000を取得している膨大な数の部品メーカーが7.3を適用しなくてはなりません。
しかも、貴社の場合、4年前に7.3の除外という基本的な除外で審査をパスし、登録しているのに、審査員の間違った個人的な指摘が通用するなら、審査機関の統制管理のレベルも問われます。
いずれにせよ、審査機関に堂々とクレームを出すべきです。
その審査機関がJAB認定なら、JABにも意見を求めるべきでしょう。
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